アキハバラ@DEEP 著石田衣良 文春文庫¥720 | おぺ~の読書日記

おぺ~の読書日記

【本を読んでの感想や、その作品に対する思いなどをつづっていければと思います】

だったのですが2008年11月に娘を出産。すっかり“おぺーの育児日記”になっていますがタイトルはそのままで。

また出た、映画原作本!
とお思いの方もいらっしゃるとは思いますが、
わたくし、石田衣良作品が大好きです。
ほとんど読み尽くしており、
基本文庫派なので、なかなか新作を読む機会がなく、
紹介コーナーに登場してこなかった訳で。
決して、映画に触発されただけではありません。
(何の言い訳だか)

石田衣良作品の何が好きって、
登場人物に対する愛情です。
それも、押しつけがましい感じじゃなく、
サラリとした愛情。

この人の作品は、基本欠点の多い人が出てきます。
しかも、至って現代的な。
肉体的な欠点もあれば、精神的な欠点もあります。
でも、出てくる登場人物達は、
その欠点をすべて包み込んでくれるのです。

腫れ物を扱うんじゃなく、
すごくナチュラルに、「そんなのたいした事ないよ」と
言ってくれます。
そして、登場人物たちも、ソレをその状況を受け入れています。

で、今回の“アキハバラ@DEEP”。
秋葉原を舞台に、
もの凄く知識があるのに、吃音の為、うまく言葉を表現できない“ページ”
極度の潔癖&女性恐怖症の“ボックス”
突然フリーズしてしまう“タイコ”
などなど、何かしら抱えている、オタクの若者達が主役です。

簡単に説明すると
その若者達が会社を興し、もの凄く画期的なサーチエンジンを作り上げるが、
それをライバル会社に奪われた為
みんなで協力して奪還する、と言う物語です。

メンバーの不思議な連帯感や
アキハバラの描写のリアルさ、
IT長者のイヤな奴さ加減などなど、
見どころはいっぱいなのですが、
わたしが“お見事!”と思ったのは、
ベースとタイコが拉致された部分です。

奪還計画を進めるメンバー達。
その計画はライバルの知る所に。
そして拉致。
殴られても蹴られても口を割らないが、
遂に相手は“自白剤”を持ち出して来た。

ココで、タイコは得意のフリーズ状態に。
そして、ベースは辛い過去を思い出し、
いつも以上にひどい吃音状態に。

そうなると自白剤を投与されても、タイコは意識がないし、
ベースは自白しても、何を言っているかわからない状態。

自分たちが“欠点”と思っていた事を利用することで、
見事にピンチを切り抜けたんです。

押しつける訳じゃなく、
説教する訳じゃなく
『ね、欠点も意外と役に立つでしょ』と
伝えてくる作者に、わたしは脱帽でした。

しかも、ライバルがサーチエンジンのデータを盗む盗み方が、
サイバーな方法ではなく、
至ってアナログな“空き巣”ってのにも、やられましたし。

凄く軽いのに、凄く重いことを伝えてくれる石田衣良作品。
読んだ後は、不思議と優しい気持ちになります。

映画は多分見に行かないですが、
本はもう1度、読み返そうかな、と思ってます。

と、こんなにはまっている石田衣良ですが、
周りで「面白い」って言ってくれる人がいないのが、
現在のわたしの悩みです。
わたしの説明が悪いのかしら???