『マークスの山』は高村薫のベストセラーで合田刑事シリーズの1作目。
この作品では中井貴一が合田を演じているが、
2010年にはWOWWOWでドラマ化されている。合田は上川隆也が演じている。
製作は松竹・アミューズ・丸紅が名を連ねており、
この頃から製作委員会なるシステムが機能しだした様だ。
内容がコンプライアンス的に厳しいためか
DVD化されていないある意味幻の作品。DVD化が待望される。
あらすじ
早朝に元暴力団員畠山の死体が発見される。
捜査一課の合田警部補(中井貴一)らは捜査を開始するが
第2の殺人が発生し、事件の背後に修学院大学登山部OB
で社会的なエリートたちの過去の暗部に捜査の手は伸びていく。
重要な点
名取裕子は映画女優として壮絶な性描写に挑戦している。
萩原聖人とのラブシーンは映画のレベルを越えている(R-15指定)
また暴力的なシーンも数多くあり、体調が悪い時の鑑賞はオススメしない。
警察の内部もパワハラ体質で描かれており、緊張感が漂っている。
良かった点
中井貴一は知的でクールな合田役を好演。
脇を固める警察のメンバーも古尾谷雅人や萩原流行など
いい役者が多数でている。西島秀俊がペーペー感たっぷり
なのも面白い。
悪かった点
崔洋一監督は抑えめのクールな演出だが、
全体的にセリフが聞こえにくく、ぼそぼそ話す感じで
原作を読んでいないと話がわかりにくい。
原作未見で観たので何となくストーリーは理解できたが
細部まで理解したとはいえない。
DVD発売されたらまたみてみたい。(松竹さんお願いします。)
とここまでが2021年に書いたブログ。
今作はDVD化されていないのだがケーブルTVで放映があり
じっくりと2回目の鑑賞を行った。
名取裕子は当時38歳もはや熟女だが官能的なヒロイン真知子役を体当たりで熱演。
1回目ではよくわからなかったMARKS側の人間模様が良く理解出来た。
特に小林稔侍が素晴らしかった。
また萩原聖人が何とも哀しい役であったが、心に残った。
警察側の葛藤や緊張感。そして体育会系のパワハラまがいの捜査は
贅肉をそぎ落としたような野獣のぶつかり合いでテンションが高い。
その組織の中で主役の中井貴一が皮肉たっぷりの切れ者合田刑事を演じていた。
崔洋一監督の傑作『月はどっちに出ている』とは対照的だが警察群像を描いた作品としては完成度が
高くも見応え十分だ。