渋谷で愚連隊(のちの安藤組)を率いた安藤昇の小説をもとに映画化。
安藤組シリーズ?の1作目。シリーズ的には
1.『やくざと抗争』(1972年)
2.『やくざと抗争 実録安藤組』(1973年)
3.『実録安藤組 襲撃編』(1973年)
4.『安藤組外伝 人斬り舎弟』(1974年)
5.『安藤昇のわが逃亡とSEXの記録』(1976年)
となっている。

あらすじ
戦前(昭和初期)愚連隊を率いて暴れまわっていた爆弾マッチ(安藤昇)
は赤狩りをするために生贄として特高警察に微罪で捕まり拷問される。
そんなマッチを留置場で助けたのは医師で共産主義者の白木(近藤宏)であった。
釈放されたマッチは惚れ合った遊女のお栄(藤浩子)を身請けするために
賭場を開くがやくざの大木戸組にバレて痛めつけられる。最後まで逆らい、
大木戸組の代貸し梅津(菅原文太)に痛めつけられ顔に傷を負い,片手も不自由と
なったマッチだったが白木に救われ、足抜けしたお栄に看護されて命はとりとめるが…
重要な点
昭和初期の話であるためか実録路線でありながら
仁侠路線の世界観も醸し出す不思議な作品。
安藤昇自身の原作は未読だが、彼が理想とするやくざ像を描こうとして
このようなハイブリッドな作風・世界観になったのかもしれない。
良かった点
安藤の渋い魅力はもちろん満喫できるが、藤浩子演じる
お栄の一途な生き方が哀しい。
また近藤宏が素晴らしい役で存在感があった。
悪かった点
渡辺文雄の毎回お約束の腹黒い演技には痺れまくり。
天津敏の組長も最高である。
そしてマッチの生き方に影響を与える梅津を
演じる菅原文太の男の侠気が半端ない。