日時計館の美女(1988年テレビ朝日・松竹) | 映画バカ一代~観らずに死ねるか~

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映画に関する想いのたけをぶちまけますね。辛口で行きます。たまに甘くなりますが。

『江戸川乱歩の美女シリーズ』ではミステリーが縦軸に

主人公の明智小五郎とメインのヒロインとのロマンス

が彩りを添えることが多いのだが…

大抵は不幸な結末を迎えることが多いというか

結ばれることはない(ある意味寅さんと同じ)

のだが。大半は死別だが違うパターンもたまにはある。

その点では今作は中々面白い展開だった。

 

 

 

あらすじ

趣味のバードウォッチングで鎌倉の里山を散策していた

明智小五郎(北大路欣也)は日時計館なる元華族の屋敷の前で

屋敷の女主人郷田万喜子(水野久美)を窓から突き落とそうとする

人影を発見し、犯行を阻止する。気になった明智は今はペンションとなった

日時計館に滞在することにしたのだが、そこでお客の世話をする

万喜子の義理の娘千賀子(真野響子)と出会う。明智の来訪は

他の滞在者に波紋を広げてゆき、やがて…

 

 

 

 

重要な点

演出は村川透。原作ははっきりいって『覗き』という変態的なテーマなのだが

その要素をうまく恋愛ドラマに持ち込んだ吉田剛の脚本は流石というべきだろう。

村川透監督は前半はそつなく、そして後半はしっかりとドラマ的にも盛り上げている。

宝捜しの要素を取り込んだことで中盤の展開にも面白さが増している。

 

良かった点

ヒロインの真野響子の今風に言うところのツンデレ系の演技がたまらない。

明智と惹かれ合い、心を交わしながらも最後に守るべきもののために

切ない選択をしてしまうことで、

明智との恋が悲恋に終わってしまうのが余韻が残った。

まあこのシリーズにハッピーエンドはないのである意味安心して観られる。

 

悪かった点

ヒロインだけでなく、女主人の水野久美とペンションの客の朝加真由美も

ドラマに華を添えている。

とくに朝加真由美は色気があり、セクシー担当というべきか

(もちろん露出は控え目)

今作は見応えある傑作だと思う。