ウオルター・ヒル監督は硬派なアクション映画を得意としているが、
『エイリアン』シリーズの製作を手掛けていることはあまり知られていない。
90年代以降はエイリアンの製作を中心にプロデューサーとしても活躍している。
今作は脚本が同じく硬派なジョン・ミリアスが担当していて
主演は『48時間』のニック・ノルティとくれば期待値は高まるのだが…
あらすじ
テキサスレンジャーのジャック(ニック・ノルティ)はメキシコに住む麻薬組織のボス
キャッシュ(パワーズ・ブース)に足を洗うように説得する。二人は幼馴染の親友で
今はジャックの彼女サリタ(マリア・コンチータ・アロンゾ)は昔キャッシュの恋人だった。
キャッシュはジャックの話を蹴り、二人の対決は避けられなくなる。
そのころテキサスの銀行に謎の男たちが強盗に入る。強盗団の真の目的は
貸金庫にキャッシュが預けている膨大な麻薬取引の収益と組織の書類であった。
ジャックの事務所に麻薬取締局の捜査官が現れるがそれは強盗団の
リーダーであるハケット(マイケル・アイアンサイド)であった。
重要な点
バイオレンス映画の巨匠サム・ペキンパー監督へのウオルター・ヒルとジョン・ミリアス
からの壮大なオマージュ。ラストの壮絶バトルはまさにペキンパー節というかそのもの
ただ、マイケルアイアンサイド率いるゾンビ部隊をもう少し人間的に描いて欲しかったのと
ジャックが保安官の死後、パートナーがいなくなったのが盛り上がりに欠けていた。
長さもヒル監督のテンポの良さがジョン・ミリアスの濃い脚本を消化不良にした感があった。
良かった点
ニック・ノルティは実際のテキサスレンジャーにに頼み込んで3週間過ごし
テキサスレンジャーの役柄に打ち込んでいたとのことで、
寡黙で冷静なジャック像を確立させていた。(だからこそ相棒が必要だ)
キャッシュ役のパワーズ・ブースも余裕かましてる振りをしながら追い詰められていく
演技は流石だった。ハケット少佐のマイケル・アイアンサイドは相変わらず怪しい演技。
悪かった点
この作品はハケット少佐率いるゾンビ部隊が、
最初から軍属であることを観ている側に明かしているが
そこを隠してラストのメキシコで判るようにするとさらに良かった。
女優の出演者が少ない(マリア・コンチータ・アロンゾ)ので
そこでも華がなかった。キャッシュは麻薬王だから美人妻をはべらかして
欲しかった。正直言って面白かったが何かモヤモヤが残った。