消えた巨人軍(1976年日本テレビ・東映) | 映画バカ一代~観らずに死ねるか~

映画バカ一代~観らずに死ねるか~

映画に関する想いのたけをぶちまけますね。辛口で行きます。たまに甘くなりますが。

日本を代表する推理小説の大家西村太郎の

ベストセラーの映画化。当時凄く話題になったドラマ。

少年ジャンプ連載の『すすめパイレーツ』でその

パロディ『消えたパイレーツ』で大爆笑したのを覚えている。

 

 

 

 

あらすじ

長島監督率いる巨人軍が突如新大阪行きの新幹線から消える。

そして球団事務所に巨人軍37名を誘拐したから

身代金5億円を払えと犯人から要求の電話が掛かる。

新婚旅行でたまたま同じ列車に乗り合わせた刑事の左文字(藤岡弘)は

妻の史子(水沢アキ)そして上司であり史子の父親である矢部警部(大坂志郎)

とともに巨人軍の行方を追うが、やがて犯人グループの罠が

大坂の左文字と史子を待ち受けていた。

 

重要な点

まずは西村京太郎の十津川警部と並ぶ名探偵左文字進の事件。

しかしドラマでは左文字は探偵ではなく矢部警部の部下の刑事。

妻の史子と左文字は大阪で、矢部警部は東京で犯人グループを追うという展開が

面白い。トリックも中々斬新で練り込まれていて非常に出来が良い。

TVシリーズ5話の220分以上ある大作だが野田幸男監督が徐々に

盛り上げていく展開で最後まで引き込まれた。

 

良かった点

藤岡弘が特捜最前線に出演していた脂が乗っていた時代の作品で

色気があって素晴らしい。特捜最前線の桜井刑事はクールな印象だが

こちらは皮肉屋だが愛妻家で職人肌の刑事役がよかった。

また熱血な巨人ファンの矢部警部を演じる大阪史郎が素晴らしかった。

また悪役や傲岸不遜な金持ち役を演じることが多い岡田英次が

今作では選手やファンを大切にする球団代表役を熱演している。

ちょい役で風間杜夫や小林稔侍も出ている。

 

悪かった点

悪役は前半は平泉成(若くてギラギラしてる)が引っ張っていくが

やがて黒幕が出てくる展開もおもしろかった。

ヒロインの水沢アキも瑞々しい演技で新妻役を好演している。

姉の赤座美代子も良かった。

TVドラマ5話で製作されているが、同じ映像(特に巨人軍の映像)は使いまわされており、

そこをカットすれば180分くらいで編集できそうだが、

当時の世相や巨人(特に長島監督)の人気振りなどが楽しめてあまり気にならずに楽しめた。

なかなかの傑作だと思う。リメイクしても面白いかもしれない。