ご存じ不世出の名優勝新太郎の生涯の当たり役『座頭市』。
1989年の『座頭市』は勝新太郎監督・主演で最後の座頭市役となった。
公開当時はスタッフが死亡する不幸な事故が話題となり公開が危ぶまれたが
公開されるや評判になったことでも知られる。
あらすじ
銚子のある街道の漁村にたどり着いた市(勝新太郎)は旧友の儀助(三木のり平)と再会する。
その界隈は八州回りの役人(陣内孝則)と手を組み、旧来の親分衆を
実力でねじふせた五右衛門(奥村雄大)が支配していた。
市は儀助からもらったお金で五右衛門の賭場で遊ぶがトラブルに巻き込まれたところを
菩薩のおはん(樋口可南子)に救われる。五右衛門から執拗に命を狙われる市は
得意の居合で次々と刺客を切り捨てるが…
重要な点
勝新太郎監督の高いレベルでの遊び心が凄い。殺陣はもちろんだが
当時売り出し中の陣内孝則や片岡鶴太郎の起用。脂がのっていた
内田裕也やジョー山中などミュージシャンも適材適所で配しながら、
時代劇なのに主題歌が英語の曲(これが素晴らしい)。
もちろん三味線を聴かせるシーンもあり松村和子の歌唱もいい。
それらごった煮的な要素が不思議と上手くまとまっているところに
勝新太郎という人物の懐の深さが感じられた。
良かった点
座頭市の人物造形が凄い。女性や子供には限りなく優しく。
善人を守るが、悪党は電光石火の居合術でたたっきる。
これぞ時代劇の醍醐味。また樋口可南子が最高に美しい。
悪かった点
息子の奥村雄大は今作がデビュー作で奮闘しているが、
不幸な事故もあり、これ以降あまりメジャー作品には出ていない。
いい俳優さんだったのに2年前病気でなくなられたのは残念だ。