大映の戦争映画。大映といえば『座頭市』や『眠狂四郎』といった時代劇
のイメージが強かったが戦争映画はあまり観ていなかった。
娯楽作品かと思いきや中々の力作であった。
あらすじ
太平洋戦争中のビルマ戦線。インパール作戦の最前線にいる野上大隊は、
敵の総攻撃が迫る中、食料・弾薬が不足していた。隊長の野上(大坂志郎)
は弾薬・食料の補充か撤退を旅団長の曽根(山村聰)に進言する。
総本部からの視察で弱腰を責められた曽根は直接野上大隊の指揮をとるべく
最前線に赴く。そして曽根は自分が責任を取って大隊を撤退させることにする。
殿に5名の突撃隊を組織し、敵から奪った戦車を砲台代わりにして
全軍撤退までの時間を稼ぐ作戦を立てるが。
重要な点
5名の突撃隊、一人一人に家族や恋人との絆や別れがあり、
その場面が挿入されていく。観ている側は、感情移入していき、
彼らの生き様、死に様が心に残る演出は素晴らしい。
井上梅次監督はTVで天知茂の『江戸川乱歩の美女シリーズ』の監督だが
ミステリーだけでなく、戦争映画でも遺憾なく才能を発揮している。
良かった点
本郷功次郎、川崎敬三、川口浩、藤巻潤、大辻伺郎の
五人の個性が出ていて素晴らしかった。
他にも大阪志郎、山村聰が脇を固めている。
悪かった点
反戦映画というかヒューマニズムに満ちた映画で
アメリカの娯楽戦争映画」とは一線を画している。
もちろんそれだけではなく、ストーリーも良く練られていて
アクションシーンもあり見応えがあった。