水上勉原作の小説の映画化。
佐久間良子主演の1963年版が有名だが、
今回は1980年の松坂慶子主演作品。
修行僧と遊女の恋は破滅するしかなさそうだが
やはり悲しい結末なのは有名。
ストーリーは知っているがみたことはなかったので楽しめた。
あらすじ
修行僧の正純(奥田英二)は若狭の貧しい寺の出身だが京都の
宝閣寺の長老(佐分利信)許可で、修業しながら昼間は大学に通うことを
許されていた。そんな中正純の幼馴染の夕子が母親の病気のため、
京都の五番町夕霧楼に売られてくる。夕子が京都にいることを知り、
正純は夕霧楼に夕子を訪ねて通うようになる。
夕子は人気の遊女となるが、なじみの客(長門裕之)は正純の
遊郭通いを宝閣寺に密告する。進退窮まった正純は。
良かった点
主演の松坂慶子はやはり群を抜いて美しい。素晴らしい女優。
相手役の奥田英二も流石の演技であった。
監督は山根成之でテンポがよく、わかりやすいストーリー展開は
奇をてらわず手堅い演出。前作『黄金の犬』でもテンポよく演出していた。
若狭の美しい自然と京都の人間関係をうまく描いている。
良かった点
悲しい恋の結末ではあるが、ラストの奈良岡朋子の悲痛な叫びで
何か救われた気がした。また遊郭のマダムの浜木綿子が
情が深い女将役で貫録があり素晴らしかった。
これが宮尾登美子原作だったら、女将は悪魔のような
描き方なんだろうななどと考えつつ。
水上勉の原作の善玉と悪玉の配置が実に素晴らしい。
悪かった点
お金にまみれながら禅の道を説く長老の佐分利信が
ラストで目がうつろになるシーンはある意味痛快であった。
真に美しい生き方とは何だろうと考えされた。