あらすじ


『人間は死ぬとき、愛されたことを思い出すヒトと愛したことを思い出すヒトにわかれる』。自身の出世と成功のために堅実な人生を送ってきた主人公は、タイプのまったく異なる2人の女の間で気持ちが揺れ動きます。『愛したことを思い出す』情熱的で刹那的に求め合う沓子との狂おしいほどの愛欲の日々、『愛されたことを思い出す』控えめで奥ゆかしい婚約者の光子との半生を描いた作品です。   

↓引用




ハードカバーで読みました。

最終ページの余白が大きすぎて、豊と沓子の「思い」の大きさを感じた。

どんなに短い時間でも、誰かを本気で愛した時間は本当で、その時間を忘れられず人生を全うする沓子がいじらしかった。

読み始めは三角関係なの?こないだ読んだやつ(嫉妬の香り)とにてるの?って思ったけどこれはこれで良かったし、途中で映画化したんだっけ?ってググってみたりして。それからはもう脳内で西島秀俊と中山美穂と石田ゆり子がやりとりしてくれた。もうピッタリ。

死ぬ間際で思い出すのは愛したことであったらいいなと。でも、実際は愛されたことを思い出すのかも。そんなに強く人を思ったことはないし、昔、いい加減に生きていた時に簡単にあしらった人たちから重たい手紙とか来たら面倒だなとか思ったり、殴られた記憶も蘇ったり、いろいろ芋蔓方式にいやーなことも思い出したけど、そんな人たちが私のことをステキな思い出に昇華して踏み台にして今幸せにしていてくれたらいいなとか、それも思い上がりだ、自惚れてんじゃねぇバカ、とかそんなことをおもいながら最後まで泣きながら読んだ。私はどこか傍観した感じで読めたのは今がすごく幸せで充実しているからだと思う。そうでなきゃぁ平常心で読めないだろ。