なにわ人情物語

ザ・忘年会シーズン。


終電もなくなり、
タクシーで帰る日もしばしばありますが

一昨日、タクシーに乗った時のこと。



もう夜中二時だってのに
眠たいってのに


運転手は

かなり陽気でした。


「さっきはね！西宮までいって…どうのこうの…」

「あと1時間半で納車で…どうのこうの…」



やたらハイテンション。


俺、ほぼスルーしてるのに
止まらないの。



そんなおっちゃんが目的地近くまで来て
急に言葉を失った。



「あ…

どないしましょ…



道…


間違えてしまいました…」


おっさん、陽気さ消滅。



かなり落ち込んでるし
何回も謝ってくれるし


「いやいやーいいですよー」

と返していましたが



「最後料金少しだけ

サービスさせてもらいます」とおっさん。



そんなん言われたらどんだけ安くなるのか
楽しみになるやん！！


と思いつつ、

目的地に着き、


3620円のタクシー代、



「ホンマすんません…

気持ちだけですが…」と言われ



なんと




3500円に。



ビミョーなラインをつかれましたが


これは額ではない。




失敗した時に、誠実に気持ちを込めて謝ること。

それを目に見える何かで表現してくれたこと。



この2点で僕は満足でした。


ジュース1本分の120円のサービス。



僕は降りる前に


「おっちゃん、ありがとう！

ちょっと待ってや！」


そう言ってダッシュで自販機に向かい、
120円で温かいコーヒーを買った。


そしておっちゃんに

「次は失敗せんといてや！」

と言ってコーヒーを…





渡してないけども。



そんな後半の
ナニワ人情物語はなかったけども

そんなええ人ちゃうけども


コーヒーなんか買ってないけども。


3500円払って

ありがとう言って帰りました。