最近、人前でピアノを弾くということをほとんどしなくなってしまったのだが、大学院の修士課程を修了した頃にはそれなりに演奏会に出ていた。あれこれ過去のプログラムなどを見ていると、子どもの頃の発表会のプログラムも出てきたので、しばし懐かしみながら見る。
はじめての発表会で弾いたのはチェルニー作曲《そよ風》と《海辺の歌》であった。当時、叔母やいろんなひとに「発表会で何を弾くの?」と聞かれる度に、なぜか《その風》と答えるのがはずかしくて《ホホハヘ》みたいに濁して応えていたのであった。その他ではディアベリ作曲の《ソナチネ》や、ベートーヴェンの《トルコ行進曲の主題による6つの変奏》などを弾いていたようなのだが、とにかく子供の頃から人前に出ると緊張しすぎるくらいに緊張して、自分の演奏がダメだった思い出しかない。近所のおばさんに「じゅん君、普段は上手なのにねぇ」と言われたこともある。それは大人になるほど増している
そんな私を見て、ピアニストの父は「デカい場所ほど、聴かせたろう、と俺は思うんやけどなぁ。スタィンウェイは弾くんじゃなくて転がすもんやで。お前はなんでそんなに本番に弱いんや。不思議なもんやな」と言っていた。それに比べて、普段はあまり練習をしなかった妹は、本番に強く、悔しいながらにも彼女の前を向いて弾く堂々として姿に影で涙を流していた。本番に弱い傾向は大人になってさらに増している。
父はジャズ・ピアニストなのだが、私の耳は子供の頃からショパンに惹かれていた。普段、父がピアノを弾いていると、「あぁ、こっちじゃないなぁ」と思っていた。大人になってからのレパートリーはほとんどがショパン作品である。《バラード》op.23、《バラード》op.47、《即興曲》op.36、《幻想ポロネーズ》op.61、《舟歌》op.60、《マズルカ》op.50、それからお決まりの《幻想即興曲》、《レント・コン・グラン・エスプレッシオーネ》、《ノクターン》op.9 No.2といいった具合であろうか。フランスものではプーランクの《主題と変奏》、ドビュッシーの《エチュード》から数曲、ラヴェルの《水の戯れ》などだろうか。
いつかリサイタルをする時のプログラムは決まっている。
第1部
J.Sバッハ作曲 《パルティータ》第1番
ベートーベン作曲 《ピアノ・ソナタ》op.110
休憩
第2部
ショパン作曲
《レント・コン・グラン・エスプレッシオーネ》
《ノクターン》op.9 No.2
《幻想即興曲》
《バラード》op.23
《舟歌》op.60
プーランク作曲《主題と変奏》
だいたいこんな感じだろうか。実現するのはいつのことやら。
