論文を書いたり研究発表をする機会が増えると共に、だんだんと周囲に博士号を取得したり、進学したりする友人が増えてきた。やはり、大学での仕事を得るためには博士号が必要だと思ったことと、自分も「これだけ頑張った」と言えるものを残したいと思ったので、大学院に進学することを決めた。

 テーマはもちろんそれまで中心としていたショパンのエディション研究であることは決めていたのだが、すでに岡部玲子先生がお茶の水女子大で《バラード》全4曲をテーマとしてエディション研究の博士論文を書かれていたので、それを《エチュード》に変えるだけでは意味がない。あれこれ模索した結果、具体的に取り組まれてこなかったこと自体が不思議なショパン受容とエディション研究を組み合わせることにした。その一例として『バイエル』のエディション受容を提示する、という方法ですべてが活かせることになる。この年ほど東京に通った年もなかった、というくらいに度々上京していた。その都度対応してくださった東京芸大の図書館の方々には今でも心から感謝している。

 この年の美里祭りは横浜赤レンガ倉庫の特設会場で行われた。テーマは「美里祭り2009 輝く夏」。海側の会場でとても気持ちのよい場所だったのだが、チケットがなくてもクルーズ船から見られるようになっていた。時折クルーズ船が近づくと、「ちゃっかりシートー!」などと呼びかけており、いかにも「横浜」という雰囲気がよかったと思う。ホテルは中華街にあるローズホテルにしたのだが、それもまたよかった。午前中からフェリス女学院大学の図書館で調査し、お昼からは山手のあたりを観光してビールを飲み、美里のライブに出かけたあとは中華街でディナー、という贅沢な旅になったのだった。