定期的に書くつもりが、やはり久しぶりのブログになってしまった。2010年の出来事は書くことがたくさんあるなぁ、と思っていたら、ついつい先送りにしていまったのだった。
2010年でまず思い出すのが、国際ショパン・コングレスに行ったことである。第1回目は1960年の生誕150年、第2回は1999年の没後150年、そして2010年は生誕200年として第3回目が開催された。2月25日から、現時点でショパンの誕生日としてもっとも有力な3月1日まで行われた。日本人の方は3名発表された。私は勉強しにいっただけなのだが、見渡す限り世界的に有名なショパン研究者ばかりであった。ジェフリー・コールバーグ、ジョン・リンク、ジャン=ジャック・エーゲルディンゲル、イレナ・ポニャノフカ、ゾフィア・ヘフリンスカ、ジム・サムソンなど、いずれも参考文献として絶対に読まなければならない基本文献の著者である。ちょっとした休憩の時間や、コンサートの合間などにご挨拶し、わずかながらご指導をいただくことができた。
特に印象に残っているのは、本当に運がよかったとした思えないタイミングでアドヴァイスをいただくことができたリンク先生とエーゲルディンゲル先生である。疲れ切っていた私は学会が行われている図書館の1階のロビーでぼんやりと座っていた。そこにリンク先生が通りかかったのだった。ハッと気付いた私は直立不動になって挨拶し、ヴァリアントとミスの違いについて質問したのだった。リンク先生はとても真摯に接してくださり、適切な言葉で指導してくださったのだった。そして、なんとか接するチャンスを、と思っていたエーゲルディンゲル先生とは、夜の演奏会で偶然にも隣の席に座ることになった。ショパン研究者でなくても読む人が多い『弟子から見たショパン』の著者である。このような絶好の機会は逃してはならない。しっかり挨拶し、わずかでよいので時間をいただけないかとお願いした。先生はあっさりと翌朝の何時にどこで、と指定してくださり、その夜に質問をまとめてドキドキしながら約束の場所へと向かった。自分の博論の構想と、主に使用するエディションについて説明し、この順序で大丈夫だと思うか、というところまで詳細に説明した。その際に、ショパンの弟子であるトーマス・テレフセンが校訂したエディションについては考察に含めるのか?と聞かれ、「現時点では含めていない」と答えると、「この版について触れない研究者が多いけれど、重要なエディションなので含めるように」というアドヴァイスをいただいたのだった。このエーゲルディンゲル先生と出逢う機会がなければ、私の博論とそのリライトとして出版した『日本人とショパン』にテレフセン版は考察に入らなかっただろう。今でも、エーゲルディンゲル先生からご指導いただいた時は、鮮明に思い出すことができる。次のコングレスは2020年である。今度こそは、という気持ちを今でも持ち続けている。この気持ちを手放さないようにしなければ。
