おはようございます。
ジェネリックの話、その① その② を書きましたが、これが その③で最後です。
その①とその②はこちらです
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なぜ、薬剤師さんは「ジェネリックにしませんか?」と勧めて来るのか?
①国の方針だから
②薬局が儲かるの?
③残薬が多いんだから、安い方でいいじゃん!
の3つを詳しくお話していきます。
①国の方針=ジェネリック率を80%以上にしたい
2015年9月時点の日本国内のジェネリック率は56.2%です。
アメリカやドイツでは80~90%以上なので、国は2020年度にはジェネリック率を80%以上にしたいと考えているようです。
ジェネリックが普及すれば どんどん増え続ける医療費を 年間1.5兆円 削減できる
と考えているから。
2014年の国民医療費は40兆8000億円。これが超高齢化を迎える2025年には55兆円まで膨れると予想されているので、
医療費の増大は国としては凄く頭が痛い問題でしょう。
その解決策の一つが、ジェネックの普及という事のようです。
だから薬局でも、国の方針ということで勧めてくる という面もあるのだと思います。
②ジェネリックで薬局は儲かる?
調剤数量の65%以上がジェネリックの場合は、後発医薬品調剤体制加算 が18点付きます。
75%以上だと22点付きます。
10割だと180円・220円なので 「ああ~やっぱり儲かるんだ!」とか「ああ~! 70%くらいの薬局は75%にしたいし、63%の薬局は65%にしたいよなあ~」とも思えるし、そういう一面もあるのでしょう。
しかし
例えば、Aと言う薬が先発薬なら22点でジェネリックなら18点 というケースもあるので、
薬の売上高のみで考えると ジェネリックは逆に損になることもあるよなあ~・・・
不良在庫 と言う点を考えると どうでしょうか?
1錠1万円の先発薬が、30錠で1箱だとしましょう。
もしも5錠だけ使って、残りの25錠が使用期限が切れで廃棄処分となったら・・・・
25万円の損失です(不良在庫)。
この薬のジェネリックが1錠7000円だとしたら・・・ 25錠の不良在庫による損失額は17万5000円で済みます。
薬局が頭を悩ますのは、この 「不良在庫」 です。
できるだけ不良在庫を減らしたいけど、
患者さんが処方箋を持ってきたのに 「今、在庫がないので2日ほど待ってください」では困りますよね。
近くに支店や姉妹店がある薬局の場合は、支店と本店間で薬の貸し借りができるけど、
(以前、100mほど先に支店がある薬局で「今ダッシュで支店に借してもらいに行ってるので、あと5分程待ってくださいね」と言われました。)
小さな個人薬局ではそれができないので、使用頻度がそれほど多くない薬も
不良在庫が出ることを覚悟の上で 置いておく必要があります。
近くに支店がなくて、すぐに貸し借りが出来ない小さな薬局ほど、
患者さんにジェネリックを強く勧める傾向があるのかな?と、私自身は経験的&個人的には感じています。
今現在、保険薬は1万種類以上もあります。
薬局の規模にもよるけど、小さめの調剤薬局の場合、だいたい1500種類くらいを揃えているようです。
眼科だけなど1診療科のみのクリニックの院内調剤なら、100種類ほどだと思われます。
小さめの薬局でも不良在庫は年間100万円を超えると言われています。
不良在庫による損失額を少しでも減らしたいと思ったら、
先発品よりもジェネリックを選んでくれると、薬剤師としてはホッとする・・・のかもしれませんね。
特に、薬価が高額な薬や 使う人が少ない薬は尚更でしょう。
(私が重症筋無力症だった頃、入院していた某市立病院では、メスチノンという薬を使っているのは私一人だけでした。多分、全部使い切らないうちに退院して、大量の不良在庫を出したと思います。)
知り合いの薬剤師さんに以前、「薬局にとってはジェネリックの方がメリットが多いの?」と聞いてみたことがありますが、
その薬剤師さんの場合は
「う~ん・・・微妙」という答えが返ってきました。
実際のところ、どうなんでしょうねえ・・・・
③残薬が多いのだから 安い方でいいじゃん!
お薬、忘れずに飲んでますか? 私は、全体の服薬率は95%くらいだと思いますが、お昼の薬を時々忘れてしまいます。
昼食後のお薬の服薬率は60~70%くらいかも・・・・
2015年4月8日付の朝日新聞の記事によると
日本全体で、残薬(飲まずに捨てられている薬)は 年間 500億円分 もあるそうです。
私の個人的な印象ですが、この数字を見てしまうと・・・・ もしも私が薬剤師なら
「何割かは飲まずに捨てられてしまうんだから、安い方(ジェネリック)でいいやん!」って思ってしまいます。
アメリカやドイツは日本のように3割負担じゃないから、風邪を引いただけでも●万円も必要だよね。
だからアメリカの場合は、少しでも医療費を抑えようとジェネリックにする人が多いのだと思います。一部の大金持ちの人以外は、ジェネリックじゃないと懐が痛すぎるでしょ!
日本とは背景が違う・・・・
日本は健康保険と言う制度があるからねえ。ホンマ有難や!
私の場合は、特定疾患ということで他の人よりも多くの負担を国にかけてしまっています。なので、アレルギーも特にないし、ジェネリックでOKの薬剤はジェネリックにしています。(別に特定疾患の人はジェネリックにすれば?と勧めてる訳ではないので、誤解のないようにね)
もしかしたら、特定疾患受給者証を持ってると尚更「ジェネリックに・・・」と勧められる傾向があるのかな?なんてことを、チョッピリ感じたこともあります。(←多分、私の勘ぐり過ぎです。私の場合は、みすぼらしい貧乏人丸出しの服装で薬局へ行くからかも・・・)
私自身は、ジェネリックを否定もしないし特にお勧めもしません。
同じ病名でも同じ薬でも、服用する人の状態は一人一人違うのだから、自分自身の体の状態や懐の状態と相談して決めればいいと思います。
自分が合わなかったからといって「止めておき!」と他人に勧めたり、自分が大丈夫だからと「こっちにしておき!」と言うのは、
どちらも、如何なものか・・・と思っています。
でも、ジェネリック医薬品に関することを少しでも知っておくと、考える時の参考になるかな?と思ったので、
誤解や偏見ではなく、正しい知識を持って選んでほしいと思ったので、
3回にわたって、ジェネリック医薬品について
患者として知っておきたいことや
皆さんが疑問に思っているであろうことを かい摘んで書かせて頂きました。
医師でも薬剤師でもない私が、このような記事を書くのは僭越行為かもしれませんが、私が仕事をしていく中で(医療関連の仕事です)知り得たことは、これからも皆さんに発信していきたいと思っています。
どちらであれ、お薬は飲み忘れることがないように、用量用法を守って飲みましょうね
今朝は私が住んでいる所も、結構冷えていました。
みなさん、風邪などひかないように どうぞご自愛くださいませ。