09秋旅1 小国駅付近 | オオゼキタク Official 鉄道Blog「マジで終電5秒前」Powered by Ameba

09秋旅1 小国駅付近

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16時台の米坂線の乗客は高校生ばかりだ。
平日だからか、この「鉄道の日記念きっぷ」を利用しているとみられる旅人は一人もいない。

この街の日常を垣間見れたようで、その味気なさに逆にちょっと嬉しい気持ちになる。

隣のボックスシートでは、高校生男女が話に花を咲かせている。高校進学で離れてしまったが地元の幼馴染みと思しき彼等は他愛もない友人の話で盛り上がっている。

二人には恋愛感情はない。そうはっきりと読み取れることが意外ですらあった。
男女の友情が普通に成立しているその関係性はどこか清々しくて、とりわけ憧れに近い感情が僕を支配しようとしている。聞き耳をたてるという行為の卑小さからくる気恥ずかしさもそれに拍車をかけた。

携帯の電波も届かないような山あいの長い駅間を漸く抜け、少し開けた場所にでたと思うと小国駅だった。

彼等を含めた乗客の殆どが降り、いよいよ僕とご老人の二人となった。

列車は相変わらず無難な足音をたてながら、ストーリーのなくなったボックスシートを乗せ闇夜を滑ってゆく。

窓は深い緑の山河にかわって、自分自身の姿を見透かすように映し出すようになっていた。