鉄道と僕 その11(最終回)
なんて美しい響きでしょうか。
JR北海道・千歳線の無人駅です。
新曲を引っさげてのプロモーション中のある日。
苫小牧インストアライブへ向かう途中、
特急スーパー北斗から右側の車窓を眺めていると、この素敵な駅名を見つけました。
全てのスケジュールが終わった後、
新千歳空港からほど近いこの駅にどうしても降り立ってみたくなり、
飛行機までの待ち時間2時間をこの無人駅で過ごすことにしました。
(人ッ子一人いないのでギター弾きまくり大会でした)
列車のおよそ1/3が通過してしまうという秘境駅の美々駅には
「駅ノート」が置いてあり、旅人たちのメッセージを読んでいるうちに、
あっと言う間に時間は経っていきました。
その中の一つにこんなマンガ入りのものを見つけました。
「絵、うまいなー」
こんな駅でも取材で訪れる人もいるんだ。
このときは単純にそれ位しか思っていませんでした。
しかし、
まさか、これが運命の出会いとなると誰が予想したでしょう。いや、しない(反語表現)。
帰京してさっそく調べてみると、びっくり。
これを書いた菊地直恵さんが、連載されているという雑誌IKKIを手にとって見ると、
話には聞いていたあの、マンガ「鉄子の旅」ではありませんか!!
ちょうど単行本が出ているとのことで、即買い。
まさに、鉄道にはまりかけていた僕のツボにドンピシャヽ(゚◇゚ )ノ
日本全駅乗下車の達成者、↑主人公(?)横見浩彦さんが、
乗り鉄に限らず、駅での過ごし方、駅弁の楽しみ方、きっぷの使い方、、
いろいろな鉄道の楽しみ方を教えてくれ、同行する菊地さんたちは呆気にとられながらも
楽しみを見つけて行くというもの。一気に虜になってしまいました。
同じ事務所で、インディーズ時代に番組ゲストでお会いしたことがある、
豊岡真澄さんやマネージャ南田さんが出ていたこともあり、さらに親近感が湧きました。
この本と出会ってから、
自分の乗り鉄を、単なる個人的な趣味に留めるだけではなく、
鉄道旅の奥深さ、今まで見過ごしてきた楽しみ方を僕自身学びながら、
このヨロコビを、皆にも伝えたい、分かち合いたいと思うようになったのです。
* * * * *
そして、今。
このブログをスタートしてみました。
大井川鐵道の案内員さんと(ハーモニカがうまい)
鉄道って、基本的には個人の楽しみなんだけれども、
今のこの時代なら、色んな人と「鉄道」を通じてつながり合えるんじゃないかと思う。
そして、それぞれのキュンてなる部分を交わし合って、
今まで鉄道なんか全然興味なかった、って皆に楽しさを伝えたいし、分かち合いたいんです。
実際「自分も鉄道好きなんだ」って教えてくれる人が増えてきていて、
それがとっても嬉しかったりします。
* * * * *
鉄道を目一杯楽しむには、人間力をいっぱい使います。
姫路インストアライブのあと、倉敷まで行った帰りの赤穂線車内にて
時にはチャンスを逃さない機動力や瞬発力、
深い観察力、先を読む予見力、
すばやい決断力、じっくり待つ根気、
忘れないでおく記憶力、少しの勇気、
そして、忘れちゃいけないノスタルジー、思いやり。
乗ってるだけで、頭や胸はギュンギュン回りっぱなしです。
* * * * *
列車の中はパブリックな場所だけど、仲間意識が芽生えてしまう不思議さがあります。
乗り合わせたその人を見てるだけで、人生がどんどん見えてくる。
噂話に夢中の学生さん、ひと駅で降りて行ったおばあちゃん、睡魔に負けたスーツの男性、
ボックスシートで向かい合う老夫婦、本の世界に完全に入り込んでしまっている女性。
車窓を眺め続ける幼い子。メールに微笑む女の子。運転台後ろに張り付き動かないおじさん。
別れのあと涙にくれてる人もいて、全然関係ない僕でも胸が締め付けられたりします。
街によって、言葉や表現が全然違うのも面白いところ。
駅で人は出会い、触れ合い、そしてどこかを目指してそれぞれの道へ別れてゆく。
人同士が織り成すドラマをいっぱいに詰め込んで今日も列車は走っていきます。
そんな一つ一つを、心に焼き付けて覚えておきたい。
まだまだ、見たこともない日本があるはずだ。
そして、懐かしい日本が残っていてくれるはずだ。
鉄道と僕。
鉄道は、僕にとって世の中や人生を垣間見る、「窓」そのものなんです。
てことで、最後は横見さんの格言で(´∀`)
おし、乗り行くか!!!!!!!