三菱鉱業株式会社線(大夕張鉄道)唯一の自社発注客車のナハ1(後のナハフ1)。

・南大夕張駅構内のナハフ1 1980年頃

 ・三菱大夕張鉄道ナハフ1形式図

明治時代に大夕張炭鉱の専用鉄道として開業した三菱大夕張鉄道だが、昭和10年代に入ると夕張岳山麓の森林資源開発を目的とした森林鉄道も開業し、1939(昭和14)年4月20日に「三菱鉱業株式会社線」として地方鉄道に改組、営業を開始した

 地方鉄道化に際し、1937(昭和12)年9月日本車輌東京支店製の半鋼製2軸ボギー客車・ナハ1が新製された。それまでの2軸客車と異なり、大型のボギー客車の入線は同線の旅客輸送にとって画期的な事であった。両端部ロングシートであったが、1967(昭和42)年にはその一部を短縮して車掌室が設置されナハフ1となり、冬期にダルマストーブが設置され1987(昭和62)年7月の廃止まで混合列車に活躍した。


・車内のダルマストーブ 1973年頃

・短縮されたロングシート 2020.4.12

廃線後も旧南大夕張駅構内に残されたが、1999(平成11)年春に大雪で転倒、同年12月に市民らが夕張市に働きかけ、復旧した。
三菱大夕張鉄道保存会による修復作業が続いているが、現在は他の車両と共に「近代化産業遺産」として南大夕張駅跡に大切に保存されている。
なお、同系の三菱鉱業美唄鉄道でも同寸法のナハフ1~3の3両が1935(昭和10)年に導入されている。
主要諸元(ナハフ1改造後)
・最大寸法:全長17,040mm、全幅2,720mm、全高3,736mm
・自重:24t ・台車 TR23
・定員:80名(夏)76名(冬) 内立席 20名(夏)16名(冬)
※ナハ1:88名(夏)80名(冬)