森信三先生と「実践人の家」を語る時に絶対に欠かすことのできない人物が寺田一清先生であります。

 寺田先生は昭和40年、38歳の時に森信三先生に出会われました。以来、森先生一筋に歩まれ、昭和52年に「実践人の家」常務理事に就任し、機関誌の編集は17年の長きにわたられました。森先生の語録「一日一語」、戦前の「修身教授録」を再編集し、致知出版より刊行するなど、91歳の今日まで森教学の出版・編集・公布に多大な功績を残してこられました。

 「はじめまして。私は去る7月31日、森先生のお宅を訪問いたしました。その時、森先生より寺田様を紹介され、今後色々とご指導を受けるようにと言われ、一度お会いしたらいかがですか?とのことで、できれば是非お会いしたいです。・・・」

                         昭和62年8月10日父の複写はがきより。

この一枚のはがきから、私の父 裕三と寺田先生の交流が始まったのです。

 

「森信三先生、先生からのお手紙有難く拝見いたしました。

 寺田清一(一清)様から、「実践人」・「不尽小典」」を頂きました。次第に広がる人の輪、このご縁を大切に二度とない人生を長く生きようと思います。

 寺田様の文字も先生に似て、心のこもったもので感心しているところです。・・」

                          昭和62年8月15日 父の複写はがきより

 

父のはがきに早速答えて下さった寺田先生。父は寺田先生を心から信頼するようになりました。

森信三先生が平成4年に亡くなってからは、新しい複写はがきを使い始めるときは必ず寺田先生へのはがきから書き始めました。

そうすることで、常にはがきを始めた初心を忘れないようにしていたのです。

お蔭で父は6万4千枚のはがきをかくことができたのです。

寺田先生との出会いはまさに「逢い難くして逢うを得たり」であります。