「“愛子天皇陛下”に賛成ですか、反対ですか」

この問いに国民の8割が賛成した、というアンケート結果があるそうです。

「女性天皇」の問題は、その夫となる「皇婿」の問題でもあります。これを抜きに語ることはできません。

 女性天皇の「皇婿」となる方は、次のいずれかです。

A 皇族男性

B 民間人男性

C 不在(つまり生涯独身)

高い確率でCになると思います。

全ての選択肢に問題を含んでおり、皇室の消滅につながりかねません。(その理由は後述します)

 

我が国日本は、公称2679年の歴史を持つ世界最長の国です。

これは、わが国が伝統を重んじる国であるからです。

その日本を支えてきたのが皇室です。

 不易流行

時代を超えて変えてはならないことと、時代に応じて変化させることがあります。

「皇位継承」は、126代にわたり「男系による万世一系」という大原則を例外なく守り続けてきました。

今上陛下の血統が絶えたとき、別の系統に移ることはありましたが、

「神武天皇に連なる男系皇族が皇位につく」

という原則に一つの例外もありません。

明治以降は、皇室典範で定められた「男系“男子”による万世一系」へと発展しました。

現在、秋篠宮家の悠仁親王殿下まで“男系”の糸はつながっています。 

“男系男子による継承”は、皇統維持という目的のための“手段”です。

ですから、“男系継承”を変えることを前提とした“愛子天皇”擁立論は、皇統を断絶することになります。

以下、その理由です。

 

〔1〕 女性天皇は“中継ぎ”だった

過去に、男系女子天皇が八方十代いらっしゃった。この先例をもとにして、

「男子の皇位継承者がいないから、皇女が継承した」というウソが宣伝されています。

日本の歴史に登場された女性天皇は“中継ぎ”であって、次期男系男子天皇がすでに決まっているか、候補者が複数おられる場合に限られていました。

過去の女性天皇を先例とする議論は、まず、男系男子の皇位継承者をどのように確保するのかを議論したあとにすべきです。

持統天皇の場合、かなりの男子の皇位継承者がいました。

ただし、候補者がみな幼少であったので成人されるまでの“中継ぎ”として即位されました。

後継者不足の心配はみじんもありません。

一方、皇位継承者がいないという深刻なケースでは、神武天皇の皇統を受けつぐ傍系から皇位継承者を出し、危機を乗り越えました。

継体天皇、後花園天皇、光格天皇の即位です。

このとき、女性天皇が登場することはなく、検討もされていません。

女性天皇とは、まず男系男子の皇位継承者を確保し、

それが定まった後に“中継ぎ”として女性天皇にどのように即位していただくかを検討する、というのが順序です。

後に述べますが、必然的に“中継ぎ”とならざるを得ないシステムになっていました。

 

もう一つ、女性天皇に関わる重要な条件があり、厳守されてきました。

女性天皇は、“独身”または“出産年齢を超えられた寡后”であること。

つまり、ご懐妊は禁止されていました。この条件を満たしている場合に限って女性を天皇の位につけました。 

八方のなかで四方の女性天皇は生涯独身でした。

もう四方は、皇太子妃または皇后としてご結婚されましたが、即位の際は寡后でした。

皇統二千年の歴史には、女系天皇と女系の皇子・皇女は一人も誕生していません。

「女系の皇胤はゼロ」が守られてきました。

 

「女性天皇は過去に存在した」というのは事実の半分です。

明治時代までは、「ご結婚されず皇配が禁じられている女性天皇がおられた」のです。

女性天皇を制度として認めるのであれば、“ご結婚の禁止”を伴います。

明治の皇室典範が皇位継承を男系男子に限定する経緯はここにあります。

“ご結婚されず皇配が禁じられている女性天皇”を制度化することは新しい時代にはできない、皇統維持するためには先例となる女性天皇を禁止するしかない、というのが皇室典範を起草した井上毅の判断でした。

現・皇室典範に第十二条「皇族女子の婚姻による臣籍降下」も「女系の皇胤はゼロ」を守るための条項です。

「中継ぎだった女性天皇」と「女性天皇のご懐妊禁止の原則」

 この事実を皇族の方々がご存知ないはずはありません。

 「愛子天皇陛下」に賛成の人達は、愛子内親王殿下に“独身”を強要するつもりなのでしょうか。

国民にもしっかりと事実を示したうえで、賛否を問うていただきたいと思います。

 

〔2〕 女性宮家は皇統断絶をまねく 

皇室は、全ての女性が皇室に入ることが出来る可能性を含んだ仕組みになっています。

別の言い方をすれば、全ての女性が天皇の母になる可能性を含んだ仕組みです。

上皇后陛下も皇后陛下も秋篠宮妃殿下も民間人でした。

一方、民間人男性が皇室に入ることは絶対に許されません。

一旦臣籍降下(民間人となる)した男性も、“原則”として皇室に戻れません。

 

歴史上、時の権力者が皇室に近づこうとしたことがありました。

まず、自分の娘を天皇に嫁がせて皇族となる。その娘が皇子を生む。

すると娘は天皇の母となり、自身は天皇の祖父となる。

皇室に近づくのはこれが限度でした。

どれほどの権力があっても、民間人男性は皇族になれません。

 

「宮家」は、皇位継承権のある男系男子を当主とする皇族ご一家のことです。

天皇の血筋が絶えるという危機に際して、皇位継承者を確保するためにあります。

現在、宮家当主である秋篠宮殿下と、そのお子様の悠仁親王殿下まで皇統はつながっています。

しかし、今のままだと、悠仁「天皇陛下」御即位のときの宮家はゼロです。

悠仁親王殿下に男児の御誕生が無ければ、皇統は絶えます。

このような現状の中で浮上してきたのが「女性宮家」の創設です。

制度として、「女性皇族にも皇位継承権を付与し、結婚しても(女性)宮家の当主として皇族に留まっていただこう」というものです。

 

女性宮家も、「皇婿」の問題です。

男系男子の皇族が減少または不在なのですから、女性皇族の「夫」は民間人となるのはほぼ確実です。

民間人男性が内親王殿下と結婚しても民間人のままです。

皇室の絶対的な原則はくずれません。

「夫」の方を尺度に「家」を見るのは、日本人でも世界の人々でも共通しています。

例えば、歌舞伎界で「世襲」といえば、男系男子のみに限定しています。わざわざ「男系男子の世襲」とは言いません。

皇統の「世襲」もまた同じです。

女性宮家に民間人男性が入れば、宮家は限りなく民間に近づきます。

具体的に申し上げるのは恐れ多い事ですが、愛子内親王殿下が民間人とご成婚なされば、皇族でありながら民間人に見られてしまうのは防ぎようがありません。

民間人男性の皇婿を迎えた「女性宮家」の子孫が男子でも女子でも天皇に即位すれば「女系天皇」です。

そこに、神武天皇から続く血統はありません。

2679年の歴史ある皇室は消滅します。 

これが「女性宮家」の実態です。

 

次に、女性皇族に“皇位継承権を付与する”ということについてです。

女性皇族の方々、例えば、愛子様、眞子様、佳子様は幼いときから、ご結婚を機として皇族を離れることを前提に育ってこられました。

それをいきなり「皇位継承権(義務)を付与します。継承順位は〇番目です」というのです。

このようなことを望んでらっしゃると思いますか。

当事者の方々のお考えを聞かずして決められることでしょうか。

「男女平等」を盾に皇位継承権を強要するつもりなのでしょうか。

 

そしてご結婚となれば、眞子様のようにワイドニュースの話題にもなります。

それが、天皇の「皇婿」となれば、候補者探しはどれほど難しい事でしょうか。

困難を極め、「夫不在、子も不在」という事態が起きれば、未婚の皇族女性がたった一人で天皇の重責を背負う最悪の事態が起こります。

しかも、女性天皇をお支えする男性皇族がほとんどいない状況の中です。

 これを「安定的な皇位継承者の確保のための解決方法」というのでしょうか。

「女性宮家」とは、仮面をかぶった「現皇室を消滅させる方法」だと言わざるを得ません。

 

〔3〕旧皇族の皇籍復帰こそ唯一の方法

ここまで、「女性天皇」・「女性宮家」について述べてきましたが、選択肢はもう一つあります。

「旧皇族の皇籍復帰」です。

旧皇族には、少なからず男系男子がおられます。

継承者の問題は、戦後、皇籍離脱された旧皇族の方々が復籍されれば済みます。

「女性天皇」と違い、126代にわたる皇位継承の大原則は守られます。

これ以外に、皇統を維持する方法はありません。

 

皇位継承者の減少・不在の問題がおきることを想定して、宮家を創り維持されてきました。

今上陛下の血統が絶えるときのために、皇統を継ぐ体制は整っていました。

もし、戦後まで維持されていた11の宮家が皇籍を離脱することがなければ、現在の継承者の危機は起きていません。

日本がGHQの占領下という異常な時期であった昭和22年10月、11宮家51人は皇籍を離脱されました。

11宮家が皇籍離脱されるとき、今日の危機は当然予想されていました。

それが現実になったのです。

そうであれば、当時の状況を考たうえで、旧皇族の方々に復籍していただければ簡単に解決します。

危機は実態においては存在しません。

諸「宮家」は今も立派に現存されています。

早急に検討すべきは「旧皇族の皇籍復帰」です。