7月26日、領土問題をテーマにした勉強会を開きました。

テーマ:領土は取り戻せるのか

1 領土問題は存在しない? 
これ(赤い線)は、日本が主張するロシアとの国境線です。


現在、北方領土はロシアに不法占拠されたままです。
当時のソ連は昭和20年8月28日に択捉島を占領、9月1日に国後島・色丹島を占領、9月3日に歯舞群島に上陸し9月5日に完全占領しました。
Q1 北方領土は、法的・歴史的に見てどれくらい日本のものだと思いますか。
 ① 100%
 ② 98%
 ③ 70%
 ④ その他


ソ連が日ソ不可侵条約を一方的に破棄して、満洲国、朝鮮半島、樺太、千島列島などに侵攻を開始。

北方領土の侵略は、ポツダム宣言受諾後で日本軍の抵抗はなく、完全に無血で行われました。

国際法違反です。
Q2 日本固有の領土を取り戻すにはどうしたらよいか。
自分の考えに一番近いのはどれですか。
 ① 粘り強く話し合う
 ② あきらめる
 ③ 軍事で取り返す


2年前の12月、ロシアのプーチン大統領が日本を訪問しました。

日露首脳会談で、領土問題が進展するのではという期待が持たれました。

ところが・・・・

プーチン大統領は、インタビューにこう答えています。
「ロシアには領土問題は全くないと思っている。

ロシアとの間に領土問題があると考えているのは日本だ。

それについて我々は話し合う用意はある」
領土問題は存在しないと言っています。
 
2 国際司法裁判所は実態説・強制力なし 
国際司法裁判所」という国連の機関があります。
日本は、北方領土問題、竹島問題を国際司法裁判所に頼むことを提案しましたか、ソ連も韓国もこれを拒否。

相手国が応じなければ裁判に持ち込めません。
Q3 もし、国際司法裁判所に持ち込むことができたら、日本の主張は認められると思いますか。
 ① 認められる 

 ② 認められない  

 ③ その他
法的実態があったとしても、実効支配している方を勝たせる傾向にあります。


ソ連が北方領土を実効支配してから73年が経ちます。 

相手の「国際法違反」を主張しても、口先だけの抗議は吹き飛んでしまう可能性があります。 
Q4 仮に、裁判所に持ち込み、日本の主張が認められたら、領土は戻りますか。
 ① 戻る 

 ② 戻らない

 ③ その他
裁判所という名前は付いていますが、強制力はありません。

 

その実例が「南シナ海問題」です。

チャイナが実効支配を強めるこの海域はどこのものかで争っています。

フィリピンが裁判に訴え、2016年、初めて国際的な司法判断が下されました。
国際仲裁裁判所は、

「中国の主張する『九段線』に法的根拠は存在しない」

と断じました。
しかし、これをチャイナに強制執行する手段がありません。チャイナにとっては紙切れと同じ。

実効支配はその後も加速しています。

これが国際法の現実です。

3 国際法は合意法 
法があっても無いに等しい???
いったい国際法とは何でしょうか。
【事例2 駐蒙軍司令官根本博中将】
昭和20年8月9日。

ソ連が日ソ不可侵条約を一方的に破棄して、満洲国、内蒙古、朝鮮半島、樺太、千島列島などに侵攻を開始しました。
満洲では、殺人・強姦・暴行・略奪が町中にあふれました。しかも日本人の9割が女性。ソ連兵に凌辱されるか自決かの選択を迫られます。
その時、内蒙古を守る駐豪軍司令官だったのが根本博中将です。


8月14日、日本がポツダム宣言を受諾しました。「武装解除」しなければなりません。
Q5 根本司令官のとった行動は次のどれでしょう。
 ① 武装解除した
 ② 武装解除しなかった
 ③ ソ連軍と交渉した 
玉音放送の後、根本司令官は現地ラジオ局から軍隊と邦人に訓示を述べます。
「われに利あらず、戦いに負けて降伏することになっても、私も私の部下将兵も健在である。

私の命令のない限り、勝手に武器を捨てたり、任務を放棄するような者は一人もいないので、疆民および邦人は決して騒ぐ必要はない。

私は上司の命令と国際法規に従って行動するが、

我が部下及び疆民・邦人の生命は、私の生命を賭けて保護する覚悟である。

駐蒙軍の指導を信頼し、その指示に従って行動されるよう切望する」

根本司令官は、軍隊に次の命令を発しました。
理由の如何を問わず、陣地に侵入するソ連軍は断乎之を撃滅すべし。

これに対する責任は一切司令官が負う」

ソ連軍は日本の降伏を知っても攻撃をやめません。内蒙古にビラを撒きました。
「日本は周知のごとく降伏した。関東軍は日本天皇の命令に従い降伏した。

にもかかわらず、張家口方面の日本軍指揮官だけが、天皇の命令に背いて、戦闘を続けているのは許せぬ。

直ちに降伏せよ。

もし降伏せずに今後もなお戦闘を続けるならば、その指揮官は戦争犯罪人として死刑に処すほかはない」

根本司令官は、ソ連軍の武装解除に応じません。そして、日本陸軍の支那派遣軍総司令部に次のような電信を打ちました。
「八路軍(中国共産党軍)及びソ連軍の侵入は、敢然それを阻止する決心なり。例え逆賊と言われようとも戦うつもりである。その決心が国家の大方針に反するならば、直ちに本職を免ぜられたし」

根本中将の率いる駐蒙軍は白兵戦を戦い、8月20日に邦人4万人を移動させ終え、8月21日にようやく駐蒙軍に撤退命令が出されました。
Q6 根本中将の行動は、国際法違反でしょうか。
 ① 違反だ 

 ② 違反でない 
相手に守る気が無ければ、こちらも律儀に守る必要はありません。

なぜなら、国際法は、「強制法」ではなく「合意法」だからです。

4 国内法は「自力救済」を取り上げる 
国内法は、「強制法」です。

政府は、法律を国民全員に従わせる力があります。国民に強制する力があります。
例えば刑法。
AさんがBさんにナイフで刺されたとします。
Q7 刺されたAさんはBさんに仕返しすることが出来るでしょうか。
できません。
もし、殺されそうになった時、返り討ちにすると、逆に殺人罪に問われてしまいます。身を護るのは正当防衛の範囲内です。

仇討ちも認められません。
国内法は、Aさんの「自力救済」を取り上げました。

Aさんの替わりに、警察などの機関が法律を破った人を取り締まります。刑法に基づいてBさんを逮捕し、裁判にかけ、罰を科します。

5 国際法は「自力救済」を認める
国際法は主権国家同士の“合意”で成り立っているものなので、「合意法」といいます。
拉致被害者を返さず、日本の頭上にミサイルを飛ばす北朝鮮。
日本の領海侵犯を繰り返すチャイナ。
領土を不法占拠して返さないロシアと韓国。
国際法を無視し破った場合、国際社会には、これを守らせる世界政府も国際警察もありません。

国際法は、「自力救済」を認めています。


もし、破った国にどうしても国際法を守らせたいのなら、実力で制裁して言うことを聞かせるしかありません。

自分に力があれば出来ますが、なければ泣き寝入りです。

歴史的に見れば、軍事侵攻で取られたものは軍事侵攻で奪い返すしかありません。
そのために、主権国家が軍隊を持つことを権利として認めています。
日本がポツダム宣言を受諾するかどうかで議論になったのが、「全日本国軍隊」の武装解除でした。相手が国際法違反をしたときに止める方法がなくなるからです。実際、戦勝国アメリカもソ連も国際法違反を繰り返しました。
武力が背景になければ、相手国とまともに交渉すらできないのが国際社会です。

Q 日本固有の領土を取り戻す。あなたの考えに近いのはどれですか。
  ① 粘り強く話し合う
  ② 泣き寝入りする
  ③ 軍事で取り返す


【参考・引用文献】
・昭和20年8月20日 内蒙古・邦人四万人奇跡の脱出 PHP
・国際法で読み解く戦後史の真実 PHP新書
・TOSSランド