皇位はなぜ男系でなければならないのか(現代篇)

 

【1】 天皇陛下の地位

 天皇陛下の国際的な地位をご存じですか。

 アメリカ合衆国大統領がゲストを迎える際の最高の礼遇は、空港においてホワイトタイ姿で出迎えることです。そしてこの礼遇が適用されるのは『ローマ法王』『イギリス女王』および『天皇陛下』の3人だけです。

 オバマ前大統領は初めての訪日の際、天皇陛下に謁見し、90度に背中を丸めて最敬礼しました。

 ローマ教皇が外国を訪問することがあります。そのときは、訪問先の国の元首が法王を訪ねるのが慣例です。しかし、唯一の例外が天皇陛下です。ヨハネ・パウロ二世の日本訪問の際、教皇の側から皇居に出向いて昭和天皇を訪問されています。

 整理します。

 天皇陛下(Emperor)≧ ローマ教皇 > 英国女王 > アメリカ大統領 > 日本国首相

 世界でエンペラーとして認められているのは、もはや天皇陛下しかいません。

 国際儀礼上、天皇陛下は地球で最上位の御存在なのです。

 

【2】男系の伝統

 世界が天皇陛下に敬意を払う理由はただ一つ。

 天皇家が天照大御神から続く家系であり、初代神武天皇から125代今上陛下まで、例外なく<男系>で皇位が継承されてきたからです。

 上記に<男系>という言葉があります。

 「男系天皇」は、「父親の父親の・・・」というように“父親だけ”を遡っていくと天皇にたどりつきます。 一方、母親が入らないと天皇に繋がらない場合を「女系天皇」といいます。日本の皇統2000年の歴史に女系天皇は皆無です。女系の皇子・皇女もゼロです。外国人が聞けば驚愕するような話です。

 ヨーロッパの王室の継承ルールではサリカ法によるものが多く、その見地から見ても現在の日本の皇統はケチのつけ様がありません。だから世界で認められているのです。 

 

【3】女性天皇を誕生させてはならない

 昨今、皇室典範を改定して、愛子さまが天皇になれるようにしようという意見があります。

 愛子さまが即位されると<男系>の女性天皇です。これは過去に先例があります。しかし、ここで知らねばならないことは、過去8名の女性天皇全員が“未亡人”か“生涯独身”を通されたということです。“ご懐妊の禁止の法”を完全に遵守されました。この女系の皇子・皇女をお産みにならないために。

 明治以降は、皇位を継ぐのは男系男子に限定し、内親王は婚姻と同時に皇籍離脱されます。その理由の一つが、生涯独身を内親王に強要するのが忍びないというものでした。

 よもや愛子さまに、この伝統に従ってくださいというつもりなのでしょうか。

 具体的に申し上げるのは畏れ多いことですが、仮に皇室典範が改定され、愛子さまが(伝統に反して)民間人と結婚されたとします。お二人の間に無事お子様が生まれて、この方が即位されたとしたら、「女系天皇」の誕生です。

「女系天皇」になったとたん、これまでの天皇の国際的地位は失われます。

 どこの国も天皇に敬意を払わなくなります。もはやその天皇にアメリカ大統領はホワイトタイで空港まで出迎えに来ないし、ローマ教皇は皇居を訪問しないのです。

 なぜでしょうか?

 仮に、愛子さまのご結婚のお相手を民間人の鈴木さんとします。生まれるお子様のご先祖様は誰でしょう。<男系>から見ると、お相手の鈴木さんや鈴木さんの父親です。<女系>から見ると愛子様、雅子様、小和田優美子、江頭すず子・・・というように雅子様の母方を遡ることになります。神武天皇からの血筋はどこにもありません。

 鈴木家の家系に伝わる伝統にアメリカ大統領は最敬礼などしません。どの民間人が結婚しても同じことが起こります。それが欧米の認めるサリカ法の解釈なのです。

 

【4】遺伝学からみた<男系>

 DNA解析の進歩によって、<男系>を説明できるようになりました。

 遺伝子というのは、いわば体の設計図です。子供は、父母の遺伝子が組み替えられた新しい個性ある命です。

 ところが、親の持つDNAの組み換えがなされず、そのまま子孫に伝わるものがあります。父から男の子に継承されるY染色体を構成するDNAと、母から子に伝わるミトコンドリアDNAです。

 性を決定する性染色体はX染色体とY染色体の2種類あります。男性はXY、女性はXXからなります。男の子は父親のYと母親のどちらかのXを持ちます。したがって、Y染色体は代々父親から男の子へと必ず受け継がれるのです。女の子はX染色体しか持っていませんから、将来他の男性と結婚して、男の子を産んでも、その子のY染色体は自分の父親のものではありません。だから女系ではY染色体は伝わらないのです。

 「万世一系」というのは、今上陛下のY染色体が、遠く日本武尊、神武天皇、天照大御神まで遡ることができるということです。

 

【5】旧宮家の復帰

 以下、ご皇室に対して不謹慎な書き方になることをお許しいただきたいのですが・・・。

「男は種、女は畑。大根の種はどの畑にまいても大根がなる。ニンジンの種を蒔けば、ニンジンしかできない」

 このような話を、親から、或いは習い事の師から聞いた方がいらっしゃるのではないでしょうか。

 むつかしい理屈は分からなくても、日本人は、「男の血筋」が大切なことを直感でわかっていました。

 皇室は民間女性を受け入れてきましたが、民間男性は忌避してきました。他の種を持ち込ませなかったのです。たった一種類の種を維持する、これが先人の努力によって何代も何代も繰り返され、世界に類を見ない「万世一系」の天皇が今日まで続きました。

 皇位継承の危機は幾度かありました。天皇家に皇位を継ぐ男性がいらっしゃらないときのために、皇統に属する男子を当主とする宮家が創設されました。宮家は天皇を出す家です。

 ところが、戦後GHQの圧力によって、11宮家51人は皇籍離脱を余儀なくされました。皇位継承問題が起きるのは当然です。

 とすれば、皇統危機を回避する唯一つの方法があります。

 旧皇族の方々の皇籍復帰であり、新しく創設した宮家の中から天皇をお出しいただくことです。

 これには、臣籍から皇位に就かれた先例として、宇多天皇と醍醐天皇がいらっしゃいます。

 

参照「天皇が男系でなければならない理由 (64)」

https://plaza.rakuten.co.jp/ommanipadmehum/diary/200608290000/