「世界が再び日本を見倣う日(PHP 長谷川慶太郎著)」
長谷川慶太郎氏は、トランプ政権誕生を予見していた一人です。
そのこともこの本で触れています。

 

 

が、ここに掻い摘んで紹介するのは、“歴史戦は消滅する”という所です。

※ 著書中の「国連」は、「連合国」と表記しました。
( 以下 ↓  )

 

1 歴史戦の消滅
 現在は、第二次世界大戦の戦勝国が常任理事国となって作り上げた連合国(国連)による国際秩序だ。「戦勝国・敗戦国」という枠組みがある。
 中国は、この枠組みをいつまでも守りたい。中国は「日本は敗戦国らしくせよ」「戦勝国は敗戦国に要求できる。敗戦国は戦勝国に要求できない」と言いたいのだ。平成27年に抗日戦勝記念軍事パレードを行い戦勝国をアピールした。
 アメリカの態度はこれとは対照的だった。
 対日戦勝70周年にあたって、オバマ大統領は、戦争で亡くなった米軍人をたたえつつも、同じ年の4月に安倍首相が米議会で行った演説にふれて、日米同盟を強調した。翌平成28年5月には、オバマ大統領が広島を訪問し、犠牲者を慰霊。同年12月に安倍首相が真珠湾を訪問して犠牲者を慰霊した。かつて最も激しい戦闘を繰り広げた敵国同士が、和解の力によって、世界で最も強固な同盟を結んだのだ。
 こうして、両首脳の広島訪問と真珠湾訪問によって、「戦勝国・敗戦国」の枠組みは完全に過去のものとなった。第二次世界大戦を過去の歴史にした。これは、20世紀型の国際秩序が終わることを意味する。

 

2  連合国に代わるG7
 連合国の安全保障理事会は機能していない。中国、ロシアが拒否権を持っているからだ。まとまるはずがない。
 これまでアメリカが世界の警察官を引き受けてきた。だがトランプは、「アメリカは世界の警察官をやめる」と主張し、多くの国民がこれを支持した。
 「アメリカが世界の警察官をやめる」と、別のところがその役を果たさなければならない。
 それがG7(主要国首脳会議)である。
 安倍首相は、昨年の伊勢志摩でサミットの大改革をやった。トップ同士のみならず、財務、農業、科学技術、教育、保健、情報通信、エネルギーなどの個別の大臣会議を開催し、政策を議論した。従来の顔合わせだけのサミットとは大違いだ。連合国に代わる新しい秩序を見据えてのことである。
 G7の中で、日本だけがNATOに加盟していない。日本が加わればすべてが加盟することになる。
 連合国に代わる新しい国際秩序の枠組みは、G7とNATOになる可能性がある。

 

3 中国の急落
 新しい秩序のもとで、中国の拒否権は消滅する。
 中国が拒否権を失えば、国際社会に対して何もできなくなる。もう他国にばらまく金が底を尽きようとしている。影響力を失いつつある習近平は非常に焦っている。
70年前のことを持ち出して、「歴史認識」を言い続けているのは、「戦勝国・敗戦国」の枠組みが崩れると、支那には何もないことの証であるからだ。事実を捻じ曲げてでも彼らはそこにすがるしかないのだ。
 第二次世界大戦の戦勝国の立場を失うと、中国の国際的地位は急落する。変わって急浮上するのが日本である。これは、中国には耐えられないことだ。

 

( 以上・・・ )