インドネシアには、我が國の濳水艦を | 日本國人

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令和元年・紀元2679年10月1日開始。

 今月二十一日、インドネシアの濳水艦「KRIナンガラ402」が、消息を絶ち、そして、二十五日、海底にて大破した状態で発見された。艦内の酸素は、既に尽きているとされ、乗組員五十三名の安否は、艦内に居るとしたら絶望的であるということだ。残念な事故である。御冥福をお祈りしたい。

 報道を見ていると、いろいろと驚くことが多い。まず、艦齢である。この濳水艦、元々、ドイツの造船所にて建造されたようだが、それが、昭和五十三年起工、同五十六年竣工という。おそらく、海上自衛隊にて、こんなに古い現役艦は、たとえ濳水艦でなくとも、無いのではないか。ましてや、水上艦艇よりも、はるかに、運用条件が厳しいと思われる濳水艦だ。海上自衛隊はの濳水艦は、二十年で御役御免となっているようだが、それなりの必要性があって寿命を短くしているのであろう。

 そのためかどうか、このインドネシアの濳水艦も、建造時のまま、というわけではなく、平成年間に、二年間をかけた大改装を受けているようである。しかし、それが、何故か、建造されたドイツではなく、韓国で、だというのだ。韓国は、一應、自力で潜水艦を造れはするようである。しかし、あまり評判は良くないようだ。また、韓国が他の国のためにする仕事はというのは、いろいろ問題もあるとも言われている。この濳水艦についても、ちゃんとやったのかどうか、ちゃんとやったつもりでも果たしてできているのかどうか。

 さらに驚くのは、訓練の前提とされていたという、この濳水艦の、可濳深度だ。この老朽艦であるにも關わらず、500メートル!が設定されていたという。確かに、原型となった、ドイツ濳水艦U-209型は、濳航深度500メートルとなっているようだが、濳水艦の可濳深度は、年月がたつと、次第に衰えていくそうだ。建造から何十年もたって、明らかに老朽化した濳水艦が、果たして新造時と同じく、500メートルも濳れるのか?という疑問がわく。もしかしたら、韓国が、きちんと修理改良したから大丈夫!とばかりに太鼓判を押してそれを信用してしまったのであろうか。

 ともかくインドネシアは、中東から我が國へ、原油等を運んでくる海上交通路に位置し、島國ながら、廣大な領土と領海をもつ。また、我が國が欧洲オランダから解放して獨立させたという経緯もある。さらに、支那への對抗上も、重要な國だ。この國が、今囘事故に遭った濳水艦も含めて、わずか五隻の濳水艦しか持たぬという。韓国から、新型潜水艦を買おうという計畫が、頓挫していたらしいが、この事故にて、消滅するであろう。

 ここは、我が國の濳水艦を売り込むのが最良と思われる。なんといっても、我が國の濳水艦は、性能もさることながら、戰後、沈没事故は皆無である。さすがに、最新鋭艦は高いので、なかなか賣れないかもしれぬが、海上自衛隊の濳水艦は、二十年で退役するゆえ、それでも今囘韓国で改装を行ったものより、遥かに性能は良いのではなかろうか。従って、この機會に、退役後の海上自衛隊濳水艦を、格安で供與するというのは、一法だと思うのであるが。

 

令和三年 紀元二六八一年 四月二七日