生きるってどういうこと……
生きるってことを考える時、忘れてならないのは「死」ぬということだと思う。13歳の君は人が「死ぬって」ことを知っているだろうか。
今、3月11日の東日本大震災以来、既に4カ月が過ぎました。
毎日の新聞を見ると、亡くなられた人の数、行方不明の人の数が出ています。
皆さんが生まれるもう少し前の時代に、「阪神淡路大震災」という、それはそれは大きな地震が関西地方にありました。みなさんも聞いていることだと思います。
その時、亡くなった方は、6,401人でした(兵庫県のHP参照)。
当時としては考えられない程の大災害で、地上にあって地獄のような状況を毎日、ドキドキしながら見ていました。直接被害に遭われた方の気持ちはどんな思いであったのか、どれほどの恐怖心であったのかと思います。
友だちの牧師も被災し、その後、牧師の仕事に復帰するのに精神的にとても苦労しておられたのを知っています。
でも、その死者数に近い数の方々が、今回の震災で依然として行方不明です。
私は東北出身ですが、弟が東北に住んでいます。ある町の市役所にいます。被災地域のすぐ近くの町です。
彼の義理のお父さんは、建築業者ですが、被災地に行って、復旧の作業の手伝いをしています。でも、重機は使用しないようにと言われているそうです。
この意味がわかりますか?
そう、まだ、沢山の方々が見つかっていないのです。5千人以上の方々です。政治家や、多くの人々が、どうしてこんなに復旧が遅いんだと叫んでいますが、行方不明者の家族のことを思うと、地元の人は簡単に重機を使って、ドガドガと片付けるようなマネは出来ないのだと思います。
不明になって4カ月にもなり、殆ど「生きていないかもしれない」と思いながらも、でも、諦めないで、いつか帰って来るかもしれない。帰って来ないとしても、せめて、遺体が見つかって欲しい。と家族の方々は願っているのでしょう。
だから、原発の事故も勿論、大きな原因だと思いますが、復旧作業はそんな簡単にははかどらないのだろう、と推測しています。
これは政治の問題ではなく、人の「命」の問題なのです。
人が死ぬ。とっても恐ろしい思いがします。そして、自分自身もいつかは死んで行くんだと、皆さん位の年齢、中学生位のティーンズの頃になると、心のどこかで感じていることでしょう。
でも、それでも、実感としては湧いてこないことでしょう。ずっと、大きな将来を夢見ていることだろうと思います。
私は牧師になるまでにも、随分と遠回りしましたが、人生はそんなに長くありません。勿論、急ぐことは全くないけれど、あなたの足取りで十分だけど、人の命はそんなに長くないことを知っていること。
と、もう一つ。
自分達は植物にしろ、魚にしろ、動物にしろ、何かしらの「命」を食べて、自分の命を生きながらえていることを心から感じて欲しいと思います。
今、とっても「命」が軽く考えられている時代だと私は思う。でも、人の命はずっと、ずっと大切なものです。「自分の命」だから、「自分で好きに出来る」なんて考えて欲しくない。
その命は、あなただけのものではありません。
その命を支えている、多くの魚達、多くの動物達、そして植物も全て生きていたのです。
私たちはその命のエネルギーを貰って生きていることを忘れてはならないと思います。
私たちの命を支える為に、多くの命が失われていることを「知る」だけでも、「命」の大切さを感じるかもしれません。
残念ながら、その「命」が失われていく瞬間を見ることが出来ない世界は、哲学も、宗教も、あまり必要でなくなった世界となりました。そして、命を粗末にしてしまう世界になってしまいました。
この文書を読んでみる皆さん、あなたの「命」はあなたの物ではなく、奇跡的に、この地上に「大いなるもの」によって与えられた「命」なのだということを覚えて欲しいと心から思うのです。