鬼獣妖塔 ~破壊という名の創造主~ -2ページ目

六、  女 の 戦 い


さゆり      「違う!もう何度いったらわかるの。そこはそうじゃなくてこうでしょ。
          もういっぺん中学行ってくる?」


伊達       「荒れてるなサユリちゃん」

五十嵐     「アレなんじゃねえのか?」

伊達       「アレか?」

二人       「ウヒヒ… … 」


さゆり      「そこ―何コソコソ、立ちなさい!」

二人       「ハアイ」

さゆり      「何話してたの?言ってみなさい」

二人       「・。・・・・」


メグ       「男らしくねえな、はっきりいえよ。さゆりちゃんはアレのせいで、

          ご機嫌斜め・・・」


               さゅり、メグに平手― 。



メグ       「イタッ、何すんだよ!」


さゆり     「長谷川さん、あなたには一度キッチリいっとく必要があると思っていたの。

         先生に向かってそういう態度、慎みなさい。」


メグ      「ババーのヒステリーには付きあってらんねえや」


さゆり     「待ちなさい」


メグ      「 ―― 」


五十嵐    「おい、源八呼んでこい!」

伊達      「あ、ああ。(出ていく)」


メグ      「(ナイフを出し)いつもチャラケてるくせによう、何偉そうなことこいてんだよ。

        何様?」


五十嵐    「長谷川、しまえよ。そんな物、シャレんなんねえゾ」


メグ      「デブは大人しく見物してな。見物料後で徴収すっけど・・・」


さゆり     「……ごめんなさい」


五十嵐    「え?」


さゆり     「先生、どうかしてたわ」



メグ      「反省してんだったら、それなりの誠意あるんじゃねえ?」



牧野     「お前、いい加減にしとけよ……」

メグ      「黙ってな」


圭子、律子   「・・・・・・」

  


                さゆり、膝を折る。




源八      「(入ってきて)何やってんだ!」



メグ       「チクッてんじゃねえよ、フン野郎、」

伊達      「oooooo」


さゆり      「先生、何でもありませんから……」


源八      「いや、うちのクラスだ。そういうわけにはいかない。長谷川!」


メグ       「!」


源八      「没収だ」


メグ       「(ナイフをしまい)消えりゃいいんだろ!」



                 と、出ていく。源八、追う。


五十嵐     「、俺……」

伊達       「スンマソン。・・・」


さゆり      「……。、皆、ごめんネ、ちょっと、・・・・・・(出ていく)」


伊達       「ヤベーよな」

五十嵐     「ヤベーよ、ゼッテーヤベーよ。長谷川、あそこまでやらねえべ、フツー」

伊達       「それよか、さゆりちゃんだよ。何だったんだ今日の、意味ワカンネくねえ?

          超変。あんなさゆりちゃん初めてだべ」

牧野       「おメエらのせいだろバーカ」


五十嵐     「あん!、テメェがあんな計算解けねえからこうなったろが。

          ハン、ひょっとしてオメエ、九九もできねえんじゃねえ?中学より小学校

          戻ったほうがいいなあ。うん、そうしろ、そうしろ」

牧野「ヤロー!」


                 ドタバタ ―― 。


斉藤       「もういい加減にしてよ――……これ以上授業遅れたらどうすんのよ。
          期末の範囲まだ終わってないんだよ。……受験生なんだよ私たち。勉強
          しよう」

一同       「・・‥・・」


                 ろうかから拍手の音、その主、藤井。


藤井      「彼女の言う通りだ」

五十嵐     「誰だ、兄ちゃん」


藤井      「僕は藤井。昨日から産休教師として、この百合ヶ山学園に来た」

伊達      「で、何?……」

藤井      「うん、実は数学の桑原先生とは教育実習の同期でね、昨日ここへ来た時に
         彼女がいるということを知って、ついなつかしくなってね。3年ぶりかなあ・・・。
         どんな授業をしてるのかなと立ち寄ってみたんだよ」


斉藤      「スミマセン。その桑原先生を追い出すようなことをしてしまって」


藤井      「いやいや僕のことは気にしないでいいんだよ。勝手にのぞきに来ただ
         けなんだから。……それに彼女のあの態度、無理もないんだ」


五十嵐     「・・・・・? 」


藤井      「昨日の水爆、君たちも知っているね?」


牧野      「知らねえわけないでしょ」


藤井      「彼女、北海道でしょ。家族こそこちらにおられるものの、友人知
         人の多くは昨日の・・・・・・」


伊達      「……そうか、北海道、もう無くなっちまったんだ。

         毎日事件が起きているから麻痺しちゃってきてるかもナ」


藤井      「そう。友人たちを見舞いたくても、もうこの国には、北海道という
         場所はなくなってしまったのだよ。それに君たちの受験も近いしね。
         彼女、自分自身をコントロールできる状態じゃなかったんだ。女性って、
         ほら、理屈じゃ割り切れない生き物だから。じゃ僕はこの辺で失礼するね」


         
                 藤井退場。


五十嵐    「何か不気味な兄ちゃんだったな」

圭子      「・・・・・・」

伊達      「あ―あ、受験か。ッタリーな。広沢、灘高からきたんだっけ。
         いいよな、頭良くてよ」


律子      「・・・・・・」

伊達      「え?あれ……」

五十嵐    「どうした伊達。ん?」


                 五十嵐、伊達以下、クラスの全員倒れる。
             

                 藤井 ―― 。


藤井      「フフ……。第一段階終了」


                  と、ガラスの割れる音。藤井振り向くとガイヅマ ―― 。


藤井      「俺の仕事の邪魔をしているのは貴様か」

ガイヅマ    「手伝ってやってるんだよ」

藤井       「……タメロだな」

ガイヅマ    「だな。悪いか」


藤井       「……まあよい。若気の至りってのは誰にでもある。最も、もしさゆり
          が能力を解放していたならば、只ではすまんかったがな、貴様」

ガイヅマ    「ヒュー」


藤井       「小娘の一人が暴れてくれたおかげで、さゆりの自制心が働き、
          最悪の事態は免れたが……」

ガイヅマ    「最悪?」

ゼルム     「知らんのか貴様。知らんようだな、桑原さゆりの能力を……。


          俺たちにとって

          こんなちっぽけな星の一つや二つ滅ぼすなぞ造作もないこと。

          そして我ら悪魔は永却不滅の存在。

          しかしそれは、我らが神サタンあってのこと。


          貴様がケンカを売っている人間は、我らが神サタンの血を引く者。


          それを怒らせれば、いかに無敵なる存在である我々といえど、
          ブラックホールに吸い込まれるがごとく、

          永久に表の世界に出ることはできなくなるのだ。


          貴様の犯した過ち、本来なら万死に値するも、

          今は貴様ごとき下級の者を相手にしている暇はないのでな。去るがよい」


ガイヅマ     「なるほど。サタンの娘とあらば、いかに俺様でも太刀打ちはできないな」


ゼルム      「この俺の意志を聞くことができたこと、誇りに思うがよい。

          名もなき下級の者よ、去るがよい」

ガイヅマ     「サルサルうるせえな。ボスざるさんよう」


ゼルム      「?」


ガイヅマ     「ヒュー、バーカ。お前、何万年、大魔覇極やってんだよ。ゼールム」

ゼルム      「(ピキンー)まだ言うか。ならば見逃してやるわけにもいくまいな。
          ガイヅマ、天地超法ごとき下っ端、サタンでなくともこの俺が消してや
          るわ!」


                 バトルー


ガイヅマ    「きかねえな」

ゼルム     「なに!」


ガイヅマ    「ぜんぜんきかねえや。たいしたことないな。お前の実力。ゼールム君」


                 ゼルム堕つ。


ガイヅマ    「(誇って)貴様の時代は終わった。大魔覇極の称号、このガイヅマが
         貰い受ける!!―」

               


                 暗転‐――。




五、 吸血鬼赴任


                  保健室。ユキーー。ノックの音。



ユキ        「どうぞ」


                  律子が入ってくる。


ユキ        「あなたは……」


                  律子、ユキに抱きつく。


ユキ        「そう。したいのね。いいのよ……」


                  律子、ユキにかみつく。倒れるユキ。


声         「前田く―ん、いる?」


                  星、入ってくる。


星         「!?(抱き起こし)どうした!」


                  その星の背後から律子。


星         「よせ、こら……(力自慢の力負け)」


                  星、律子の目をみると金縛りに……。近づく律子の牙。


星         「やめろ、ウアー!」


                  戸が開き、藤井。


藤井        「よくやった。教室に戻りなさい」


                  律子、出ていく。


藤井        「ムールバイガー……」


                  ユキ、星、立ち上がる。


藤井        「君たちにも、我が下僕として働いてもらうよ」


                  ユキ、星、うなずき出ていく。

                  入れ違いで圭子―― 。


圭子        「(入って)広沢さん、(藤井をみつけ)あ、…… (出ていこうとする)」


藤井        「待ちなさい」


圭子        「何だよ、てか、あんた誰?どろぼー?」


藤井        「君、可愛いね」

圭子        「え‥‥‥?」

藤井        「リスみたいだ」


圭子        「な、何?、・・・」


藤井        「・・・oo・」


圭子        「!?…・・」


藤井        「痛くないからね」


圭子        「いや、!体が動かな……、来、いや来ないで」


                   圭子の血を吸う藤井。突然ハッとする。


藤井        「!! まさか……。(TVをつける)」


TV         「……繰り返しお伝えします。日本時間11時25分、中国の核ミサイルが
           北海道に向けて発射されました。なお、ベンタゴン壊滅状態のため、合
           衆国からの迎撃ミサイルは送られず、その他の援助も望めぬ現状にあり、
           ただちに道民は非難されたしとの政府からの……」


藤井        「バカな。まだだ、まだ機は熟していない。早すぎる。・・サタン
           これはいったい……」


源八の声     「下瀬―、広沢―、ったくどいつもこいつもどこ……。(入ってきて)
           あなたは?……」


藤井        「ごあいさつ申し遅れました。私、2A金子教諭の産休補助で、本日
           赴任しました藤井と申します。また改めてごあいさつを……。(去る)」


源八        「(圭子をみつけ)……。下瀬、授業始まってるぞ。……具合悪いのか?
           (額に手を当てようとする)」


圭子        「(させず)いいえ」


                  と、出ていく。


TV         「……なお、北海道に向けて発射された水素爆弾は……」


源八        「!!えっ、水爆……!?・…」


                  暗転―― 。


                  にぎやかな音声―― 。


           「さゆり、東京行っても頑張れよ」
 

           「うん、西山も」


           「たまには帰ってこいよな」
  


           「慎吾たちも、いつでも来いよ」


           「本当行っちゃうんだ。何かさみしくなるな……」


           「優子……おい、湿っぽくすんなよ」


           「ごめん、ごめん、・・・」

           

           「‥・・・・」


           「じゃあな、桑原、毎日メール出すから。旭川、忘れんなよ」


           「うん、皆ヽ元気で・・・ね」


           「じゃあな」


           「・・・さゆり」


           「バーイ」



                        爆発音―― 。



四、 世界制覇





声1 ‥ 「臨時ニュースをお伝えします。昨夜未明、ヨーロッパ全土に勃
発した史上最大最悪の水災により、百万人以上の死傷者が

あるとの模様です。国連並びに各国のPKAその他……」



声2 ‥ 「難攻不落といわれた米国防省ベンタゴンが、何者かによって

壊滅的被害を受け、合衆国の機能が麻痺状態に陥ろうとしています。

オバマ政権はCIA、FBIを含む全ての力を結集させ……」



声3 ‥ 「……タイでは突如イナゴの大群が人間を襲い、少なくとも数千
人の死者が……」


声4 ‥ 「…… ロシアを襲った突然の隕石群は、益々燃え広がり……」


                  

                     3 B ―― 。




牧野      「みたかよニュース」


伊達      「みたみた。すげえな。この世ももう終わりなんじゃねえ。ほら、なんてったっけ

         どっかの預言者。そうそう、ジュセリーノ。あれにも書いてあんじゃねえ」



牧野      「のん気だな、お前」



伊達      「いやあ、これで受験から解放されると思うと……」



牧野      「死んじまったら元も子もないんじゃねえ?」



伊達      「そっか?う~ん・・・」




圭子      「メグ……」


メグ       「・・・・・・」



圭子      「メグ!」



メグ       「えっ!」



圭子      「どうしちゃったんだよ。ボーっとして」



メグ      「……うん。あの子、休んじゃったね。私、いじめたつもりなかったん
         だけど」



圭子      「あんた、見た目、イッちゃってるかんね。でも、風邪かなんかじゃない?」



メグ      「まじ、自殺なんかされちゃったらさ」


圭子      「考えすぎだって。パシリ位で死んでたら、命いくつあったって足りないよ」



メグ       「うん」


                 ガラッと戸が開き、3Cの古屋が―― 。




伊達      「何だてめえ」


古屋      「五十嵐!ちょいと面かせや」


五十嵐     「(起きて)あんだよ!」


古屋      「来いつってんだよ!」



斉藤      「ちょっと、やめなよ」


                 

ケンカーー‐。


五十嵐      「…… 10年早いんだよ。くそ、こら―」


古屋       「……てめえ、モテねえからってウチのクラスの女にちょっかい出して
          んじゃねえぞ」

五十嵐      「何いってんだコラー」



古屋       「とばけんじゃねえぞクソデブ」


五十嵐     「デブだあ?くおら、チンカスヤロー、状況わかってねえようだな。

         つぶしちまうぞ」



メグ       「うるせ―よ、デブ」


五十嵐      「!今いった奴誰だあ!」



メグ       「ブーブーほざいてんじゃねえってんの聞こえない!?」




五十嵐     「長谷川、おれ、お前に何かしたかよ」



メグ       「してるだろ。あたしがいるところで、ギャースカやられたんじゃ、私
          が迷惑なんだよ」


五十嵐     「いつでも受けてたつぞ。」



伊達       「やっ、やめよう。なっ、こっちも悪いんだからさ。古屋、ちょっと表出ろよ」
          

                

源八、入場。


源八       「…・ドツカーン、バリバリバリ……セーフ」


メグ       「アーウト! (明るく)源八―あたし、電池買ってあげよっか?寝過ご
          さない様に」



源八       「チッチッ・・・、やせてもかれてもミーはティーチャーでござる」



圭子       「バザーるでござる」


源八       「であるからして、生徒諸君に物を恵んでもらうというわけにはいかな
          いのでござる」




圭子       「ばざ―るでござ―る♪」



源八       「えー、では出席をとるぞ。ん?古屋。お前、C組クビになったのか?
          そうか、よしよし、あわれな子羊よ。めんどうみであげましょう。いやあ
          しかし、教師生活5年、生徒のリストラは初めてみたな」


古屋       「先生よう」



源八       「イエッス」


古屋       「あんた何でそんなに楽観的なんだよ。頭パープーなのか?」


源八       「フフ……、古屋君、それは実に良い質問ですね。ミーはね、熱血なん
          ですよ」


古屋       「?まっ、いいや。アホがうつる前に退散するか……。五十嵐!」


五十嵐     「ああ!!」


古屋       「逃げんじゃねえぞ。 (去る)」



五十嵐     「どこ逃げんだよ、バカ」


源八       「五十嵐」


五十嵐     「ああ?」



源八       「けんかか?」



五十嵐     「別に」


源八       「まあ、いいか。ケンカの一つや二つ先生も昔・・・、弱かったけどな、
          ハッハッハッ…。じゃ今日は『万葉集』の頭からだったな。……」


               

突然、停電―― 。騒ぐ女生徒たち。
                源八、防災バックから懐中電灯を出し、


源八       「おうい、騒がない、騒がない、大丈夫だ。……」


                不気味な声音―― 。


伊達       「ゆ、幽霊か?」



圭子       「やだ―」



メグ        「……」


                足音― 。 戸が開き、律子―― 。




伊達       「出たー!」」


                 電気―。




牧野       「あっ、ついた」


律子       「…おはようございます。ちょっとお腹痛くて……」


源八       「ま、まあ苦しゅうない。ちょうど今から万葉集を読もうとしてたとこ
          ろだから、席につきなさい」


律子       「はい」



メグ       「・・・・・・」


律子       「おはよう」



メグ       「お、おはよう」


               

  上手に藤井――‐。




藤井       「フフ……やはり若い女の血はうまい。いつだったかのババアの血を
          ムリヤリ吸わされたときは、本当死ぬかと思ったがな」


声        「ゼルム」



ゼルム     「ギーッ」 (藤井→ゼルム)


               

Drクラッシュ登場―― 。


Drクラッシュ  「何をもたついておる。フィア、オードル、マルッカ他、世界各国に散
          っていった妖しの者共は、すでに事を起こしておるというのに、

          最高幹部のお主がそれでは、手下連中に示しがつくまい」



ゼルム     「ギーッ。お言葉ですがDrクラッシュ、たとえこのゼルムの力を持って
          してでも、正面からお嬢様とぶつかれば、 一瞬のうちに粉砕されてしま
          います」


Drクラッシュ  「フフ……、貴様らしくないな。

          地獄の野獣、大魔覇極ともあろうお主が弱音か」


ゼルム     「・・・・・・」


Drクラッシュ  「まあよい。だがこれだけはキモに命じておけ。世界制覇のカギはこの
          日本が握っているということを。

          貴様の失敗は人類の敗北だということをな……」


ゼルム     「ギーッ」


Drクラッシュ  「いけ―!」



                 去るゼルム。



Drクラッシュ  「ムールバイガー・・・、来たれ、天地超法ガイヅマ!」

ガイヅマ     「ヒョー!」   


Drクラッシュ  「来たか、フフ…・‥、相変わらずよのう」


ガイヅマ「    何か用か、ジイさん」



Drクラッシュ  「フハハ……、仕事だ」


ガイヅマ     「フン、高くつくぜ」



Drクラッシュ  「よかろう。大魔覇極 (だいまはごく) のポストでどうだ」


ガイヅマ     「……おちょくってるのか、ジイさん。ちょっと器用な力を使えるから
          といって、人間風情が気安く口にするんじゃねえよ。……大魔覇極、…
          …全宇宙八千億妖魔界の頂点。唯一、サタンと意志を通せし物。この俺
          がおいそれとつけるポストじゃねえんだな。仮についたとしても……」



Drクラッシュ 「ほう、震えているのか」


ガイヅマ 「黙れ!長生きしたかったら、俺様を二度と呼び出すんじゃねえ」

Drクラッシュ  「ガイヅマ」


ガイヅマ     「(振り向きざま、手刃をふるう)!な、たかが人間が……」




Drクラッシュ  「わしの目をよく見るのだ」


ガイヅマ    「!そっ、その眼は……ウギャー」




Drクラッシュ  「そうだ。このわしこそ、サタンが意志が宿りし肉体、新たなる創造主
          なのだ」



ガイヅマ    「サ、サ、……」


Drクラッシュ  「そうだ。天地超法、ガイヅマ」




ガイヅマ    「なっ、なぜ……」


Drクラッシュ  「ガイヅマ、わしの力をみくびるでない。神に不可能なことなどないのだ。

          ガイヅマ」


ガイヅマ    「ヒュー」




Drクラッシュ  「仕事、引き受けてくれるか?」


ガイヅマ    「・‥o・・」




Drクラッシュ  「悪いようにはせん。……よし、いい子だ……。

          今から貴様に、ゼルムと匹敵する力を与えよう」


                 

エネルギーチャージーー‐。

ガイヅマ    「ヒュー・・・・・・!ギュー。(苦しむ)」


                  

                  暗転―― 。




三、 嵐の前の・・・



星      「んでよ、すごかったんだよ昨夜。やっぱ前田君、ボンテージだよな。

        バッチシ。着せてよかったよ。まあ無理やりだったけどな。でもそのうち、

        あいつも段々その気になっやってきちゃったりして。

        ……やっぱ女ってのは、ミステリーな生き物よ、なあ」

源八     「先輩……」

星      「あ?」

源八     「いや……」

星      「ところでお前の方はどうなんだよ、源コロ。サーピーの方はもう口説
        いたん?」

源八     「いえ……」

星       「だべな。おメエなあ。もっとスパスパッといかんといかんな。女なん
        ちゅうのはよ、押しの一手でどうにでもなるんだよ。ま、もっとも、それ
        ができりゃ苦労はないっていうのがおメェの言い分なんだろうけど、

        今時はやんねえぞ、純愛なんつうのは」

源八     「流行りすたりじゃないっすよ、ラブは」

星       「ら、ラブって・・・、まあなんだ、つまり純愛だなんだなんていって、

        指くわえて見てるだけじゃ相手に伝わらねえってことだ。

        いやいや、むしろ気がついたら、そこいらの兄ちゃんにヒョイ ッてさらわれていた、

        なんてことになってだな、しまいになるのがオチなんだよ。

        まあ先輩として忠告しといてやっけどよ」

源八     「。・‥・」

星       「ハハ……、そう気おとすなって、まかしとかんかい―ワシが一肌脱い
        でやっからよ」

源八     「ウス」

星       「おっ、うわさをすれば何とやらだ。隠れろ」
  

             

              源八、隠れる。


         「先生おはようございます」

         「おはよう」

         「さゆりちゃん、おっは」

         「オッス」

         「チワース」

         「グワッシュ」


              さゆり、ママチャリで登場。


さゆり      「あっ、おはようございます。星先生」

星        「うむ。飛行馬君でいいぞ」

さゆり      「は?」

星        「ジョークだよ。ジョーク。アイム、ジョーク・ルーカス……」

さゆり      「いつも楽しいですね、主任は」

星        「まあな、ホレたか?」

さゆり      「はい?」

星        「だからジョークだっていってんべよ、サーピィ」

さゆり      「さ、サーピー?」

星        「ところでサーピィ、男いるの?」

さゆり      「な、なんですか、朝っぱらから」

星        「職務質問である。返答せよ」

さゆり      「いっ、いません」

星        「(ニンマリ)そっ。お―い、いないってよう」


               あわてて出てくる源八。


さゆり      「とっ、戸崎先生!」

源八      「お、おはよう、桑原先生」

さゆり      「おはようございます」

星        「ま、そういうことだ。じゃ、あとは二人で好きにやってくれ。さらみ!
         (去る)」


                茫然と立ち尽くす源八。


さゆり      「(アゼン)……」


                始業の鐘が鳴る。



二人       「!」
               


                さゆり、源八、ダッシューー。
                雷! 雨!


二、  レズビアン



                  ベットに横になっていた上体を起こす律子。



ユキ       「あら、もう大丈夫?」

律子       「……、保健室?」

ユキ       「華奢なわりに回復力いいわね。熱下がってるわよ」

律子       「‥・・・」
 

                  すかさず律子の唇を奪うユキ。


律子       「!!え、な‥・・」

ユキ       「おまじないよ、只の……」

律子       「(バッと起き上がり)失礼します(退場)」

                  ユキ、机からノートを出しメモる。

ユキ       「三年B組、広沢律子、と。好みだわ……」

                   

                  一人、悦に浸っている所へ、


星        「オッス!」

ユキ       「な、何ですか星先生、いきなり」

星        「いやあ、ほら見て見て、跳び箱でコケちゃってさ、前田君、

          介抱してくれる?」

ユキ       「勝手にどうぞ。(マキロンを投げる)」


星         「冷たいな。でもそこがいいんだよな。俺ドMだから・・・。

          冷たくされればされるほど……」

ユキ       「(さえぎるように)私、そういう趣味はありませんから」

星        「いやあ、いいよ前田君、どう?あとで・・・」

ユキ      「oooooo」

星        「俺が開眼させてやるぜ。いっぺん・・・。くせになるョ……」

ユキ       「いやです」

星         「あ、そう。じゃ広沢についての情報教えてやろうと思ったけれど
          や―めた」

ユキ       「=え・・・」

星        「あの子うちに来る前、いい女とできてたらしいんだけど……」

ユキ       「女!」

星        「攻略方法、伝授してやろうと思ったんだけど……」

ユキ       「伝授お願いします」

星        「じゃ今晩……」


                渋々OKするユキ。下手に藤井。



藤井       「……星大介、空手五段……。使えるな、フフ……」



                上手にスポット。 さゆリ。



さゆり      「それにしても何であんな夢……。疲れてるのかな。あ―やだやだ、

          こんな時はフミヤでも聞きながら早く寝よ寝よ。 

          グンナイ。(電気を消す)」


                 暗転。

一、 三年B組.源八先生


             キンコーンカーンコーン、始業のベル。


伊達      「源八つぁん、又遅刻か?」

五十嵐    「だろ?あの人んちの目覚まし時計よ、毎日遅れるって言ってたからな」

伊達      「何で、電池とっかえね―んだ」

五十嵐     「さあな、金がねえんじゃねえの」

伊達      「ボンビーなんだな」

五十嵐     「月給、十五万っていってたしな」

伊達      「悲惨だな」

五十嵐     「俺、教師にだけはゼッテーなんねえぞ」

伊達      「なりたくてもなれねえべ」

五十嵐     「ああ?」

伊達      「デプはなれないんだよ」

五十嵐     「あっそう。(卍字固め―!)」

伊達      「うぎぁ―。ロープロープ… … 」


メグ       「律子、ちょっとコーヒー買ってきてよ」

律子       「でも……、もう先生来ちゃうし……」

メグ       「平気平気、 一時限目源八でしょ。

          あいつ必ず5分遅れてくることにな ってんのよ。あんた転入して間もないからさ、

          知らないだろう。色々教えてあげるよ。ね、だから早く」

律子       「う、うん」

斉藤       「あ、あたしもつきあうよ」

メグ       「いいんだよ。お前は。(圧力)」

斉藤       「…… (言い返せない)」


              戸が開き、さゆり駆け込んでくる。


さゆり      「―いやあごめんごめん。ちょっと目覚ましが……」


五十嵐     「さゆりちゃん、となりとなり」

圭子       「もう、桑原先生ったら、ドジなんだから」

さゆり      「アハ、…自習?」


               戸が開き、源八登場!


源八       「ドッカーン!今日も一日、張り切って行こう―イェーイ。……あ、

          さゆりちゃん」

さゆり      「おはようございます。戸崎先生」

源八       「あっ、お、おはようございます。くっ、桑原先生。すいません、

          教室まちがえちゃって。ハハ……」

メグ        「源八!」

源八       「まちがえて、ない。ってことは……」

さゆり      「と、いうことで戸崎先生も来られましたので、先生はC組二戻ります。
          皆、先生がいないからって騒いでいちゃいけませんよ。受験まで間もないんだから、

          寸暇を惜しんで勉学に励むよう。では、戸崎先生、あとはよろしく」

源八       「どうも」


                さゆり退場。


源八       「と、いうことであとは宜しく」


                爆笑!
                さゆり、戻ってきてひとにらみ。

源八       「さあ、じゃ今日は45ぺ―ジからだったな。牧野、読んでみろ」

牧野       「はい」


                 さゆり、退場。


源八        「行ったか?」

牧野        「はい」

源八        「ふ―う。あいかわらず固いよなあ、さゆりちゃんは」

五十嵐       「あの―先生、質問」

源八         「何だ五十嵐」

五十嵐       「先生もやっばあれ? サユリスト?」

源八         「バ、バカをいうんじゃない。せ、先生は、先生はだな……」

圭子         「あ―、先生赤くなってるよ」

源八         「う、うるさい下瀬、先生はな、先生はただの風邪だ。オホンオホン。
            オラ、風邪うつされたくなかったらおとなしくしろ」

圭子         「生徒脅してどうするの?センセッ、エッチΨ」


                 突然、律子倒れる。

斉藤         「戸崎先生―広沢さんが……」

源八         「(律子の額に手を当て)熱があるな。斉藤、保健室に連れてってくれ」

斉藤         「はい」

伊達         「源八つぁんの風邪うつったんじゃねえの」

源八         「伊達、そういう冗談はよせ」

伊達         「……」

メグ          「ま、いっじゃない。先生、それより早く授業進めてよ。受験生なんだから

             これでも。早稲田落ちたら源八の責任だかんね」

                  斉藤、律子に肩をかして退場。

源八          「はい、それじゃ牧野、読んでくれ」


                  アカリ、FOしながら源八のみスポット。

                  上手花道に別のスポットが当たると、そこにひとりの男。

                  ゼルムが乗り移った人間、藤井達也が立っている。


藤井           「……戸崎源八……。フフ……、さゆりは渡さん。ギッギッ……。

              (消える)」


                   源八も消える。




   タイトル、目次、キャスト

          タイトル



   「鬼獣妖塔」 (きじゅうようとう)

     ”破壊という名の創造主”







           もくじ






序章 、     創造主


一、      三年B組、源八先生


二、      レズビアン


三、      嵐の前の‥……


四、      世界制覇


五、      吸血鬼赴任


六、      女の戦い


七、      教職


八、      怒りの標的


九、      誤算


十、      クレイジー


十一、     スケ番メグ


十二、     スケ番メグⅡ


十三、     さゆり25 (ヴァンサンカン)


十四、     母の愛


十五、     トゥルーラブ


終章、     生命。いのち




            




            キャスト







桑原 さゆり(25)           井* 貴代

藤井 達也 (ゼルム)        小+ 淳



戸崎 源八 (29)           西! 弘二

長谷川 恵 (17)           山⑦ 美樹子
          




前田 ユキ (23)           阿久>葉子
星 大介 (34)             高橋純悦



広沢 律子 (17)           @泉 映里
下瀬 圭子 (17)           加藤 ¥美
斉藤 雅美 (18)           中豊: ~智子


五十嵐 浩 (18)           坂= 二郎
伊達 孝則 (17)           玉田 英&

牧野 潤司 (17)           吉() 祥二

古屋 修  (18)            柏{} 陽





D r クラッシュ (55)         柿・・・ 直樹



桑原 和子 (43)            横$ 彰子



ガイヅマ                  久%田 圭一





  


    注)  この作品は上演致しておりまん。


                         巳蔵企画  あべし

 







序、 創造主



            下手奥、女の血を吸うシルエット。


Drクラッシュ 「……ムーー、ルバインガーーズンボウロ、ガンザー、

          いでよ大魔覇極ゼルム!」

           

            稲妻!! ―女の悲鳴― 

           

            振り向く吸血鬼。(ゼルム)

            

            上手前、スポットーー (さゆり)

      

      声  「神は言った。『光あれ』と。すると光があった。神は光と闇を分け、
          光を昼と名付けた。そして闇を夜と名付けた。フフ……」

            

             センター奥、うっすらと立つ黒マント。
             その後には5 、6人の手下の影‐― 。


Drクラッシュ  「ならば私も名付けよう。いまあるこの世を終わらせたあかつきには、
          私が創造主。

         

          フフ……フハハ……、荒廃しきった世の中をすべて滅ぼし、
          創りだすことができるのは、神であるこの私だけなのだから。

          フフ……、ムールバイガー……」


         

    さゆり  「聞こえる。心の叫び声。でも分からない。何を望んでいるのか。

          私に何をしてほしいのか」


   

    ゼルム  「ギャーー」


Drクラッシュ  「おお、さゆりよ。。我が愛しき娘よ。そこにいる男は、お前の夫とな
          るべき者だ。さあ、交わるがよい」


    さゆり   「夫?フフ……

           こんなチンケな妖怪が私の夫?フフ……消すよ。!か…
           …お母さん!!」

           

             さゆり、ゼルムに突進するがバリアによって弾きとばされる。
            

            

             ゼルム、血を吸った女を投げ捨てる。


    さゆり   「母さん、お母さ―ん―」



 Drクラッシュ  「悲しむことはない。お前の母親は喜んでいけにえになったのだ。

           新しい世に生まれる変わるためにな」
          

           

   

    さゆり    「・・・・・・・・」



Drクラッシュ   「お前の母さんは、無能力だったんだよ。

           お前や私のようなエスパーでない限り、新しい世界では生きられない。

           だからこれは愛なのだ。  分かるな」


    さゆり    「・・・・許さない」

           

Drクラッシュ    「。・・・・。」


    さゆり    「イアーーー!!(念動波)」

         

              ゼルム、これを喰らい吹っ飛ぶ。



Drクラッシュ   「ムッ……、もはやこれほどレベルがあがっていようとはな。嬉しいぞ」

          

   


    さゆり    「許さない……。……新しい世界。……、思い通りにはさせない。
           戦う。私は絶対許さない! 」


               さゆり、母を背に上手へ去る‐― 。




Drクラッシュ   「……そうか、許ぬか……。フフ……、

           父に戦いを挑むというのだな。 まあ、それもよかろう。・・・。


           行けい! 妖魔ども。 人知れず、人の世に入り込み、

           人の心を食らってくるのだ!  …ゼルム」

        

 ゼルム      「(何事も無かったかのごとく立ち上がり)  ギィー」



Drクラッシュ   「分かっておろうな。さゆりのことは頼んだぞ」


              ゼルム去る。



Drクラッシュ   「……和子、安らかに眠るがよい。

           来るべき世界に生きるよりは、死を選びたいというお前の望み、

           かなえてやつたぞ。


           むしろその方が、お前にとっては幸せかもな。

           何かを生み出す為には、常に混沌たる期間は避けられぬのが運命。


           子を産みおとす前の苦しみと同じものだ。

           これからワシがやらんとしていることは、世を創り直そうという事業。


           一日や二日でできるものではない。


           混沌たる地獄の日々が10年も20年も続くことになる。

           人はその果てにある安住の地を見ることなくほとんどが滅
           びてゆくだろう。


           しかし、そうすることによってしか、人類は生き残れぬのだ。

           これは神の御心なのだ。……延々と続く生き地獄に生きるよりは、

           今の世で死んでいったほうが……」


              和子、復活。下手より登場。


  和子      「あなた……」


  Drクラッュ  「フフ……、お帰り」

              


              二人、仲良く退場。
                          

              暗転‐― 。




        

0、 巳蔵風治(みぞうふうじ)


 始動、20時間前。