十、 ク レ イ ジー | 鬼獣妖塔 ~破壊という名の創造主~

十、 ク レ イ ジー

                  茶店――。


メグ       「雨、あがったな」

古屋      「うん、出るか?」

メグ       「もうちょっといよう。うち帰ったってどうせやることないし」

古屋       「どっかいくか?」

メグ       「金もないくせに、ナマいってんじゃないよ」

古屋      「……お前、こうして見ると結構イケテルな一」

メグ       「口説いてんじゃないよタコ」

古屋      「案外ラッキーだったな、この事件。オメーとデートできたんだからな」


メグ      「ガキか。中ボーだってお茶位でよろこばねえぞ」


古屋      「俺はプラトニック派だからな。純なんだよ」

メグ      「ひょっとしてあんた、童貞君?」


古屋      「わ、悪いかよ」


メグ       「別に」


古屋      「俺は、 一番好きな女とじゃなきゃヤラねえんだ一」


メグ      「・・・・。」


古屋      「お前は・・・(言いかけるがやめる) 」


メグ      「私はやるよ、誰とだって。金さえくれれば・・・・、」


古屋     「(とっさに) ハゲでもか?」


メグ      「ノープロブレム」


古屋     「そうか……」


メグ      「(立って) あ~あ、ヒマだヒマだ。・・・」


                恵、退場。

                古屋ひとり残って、コーヒーを飲み千す。


                そこへ律子と圭子――― 。


古屋     「……お前らB組の……」


律子     「おごってよ」


古屋     「え?」

圭子     「いいじゃない、ね。メグばっかズルイわよ。ずっと見てたんだから」


古屋     「お前ら、催眠術にかかってたんじゃないのか?」

律子     「催眠?何それ」


圭子     「ちょっとやめてよ、バカバカしい」

古屋     「正気、なのか」


圭子     「スイマセーン、チョコパフェひとつ」


律子     「クリームソーダひとつ」


古屋     「お、おいおい……(財布を見て) そんなに持ってねえぞ」


圭子     「いいでしょ、ね、あとでいいことしてあげるから……」


古屋     「い、いいことって?」

律子     「さあ……」


古屋     「ほ、本当にいいことしてくれんだな。よ、ようし、おごってやろうじ
        ゃん」


圭子     「何だかんだいって、オスなんてこんなもんよ」


律子     「プラトニック?笑わせてくれるよ、昭和とおり越して大正かってんだ」


古屋     「!?ど、どうしたんだ急に」


圭子     「皆さ―ん、こいつ変態です。気をつけて下さあい」


古屋     「!、ちょ、ちょっと待て……」


圭子     「触んなよ、気持ち悪いな、童貞」


古屋     「・・・。・・」

律子     「いやだ、何すんの―ちょっとすみません、 一一0番お願いします」


古屋    「ま、待て待て、どうしちゃったんだよ、俺、何もしてねえじゃん」


               そこへ星――。


星      「どうした!」


圭子     「あ、星先生、古屋君がエッチなんです。童貞のくせに」


古屋     「関係ねえだろ!」


星      「貴様は黙っとれ! (圭子らに)それで?」


律子     「私たちにひどいことしようとしたんです。とても口では言えないよ
        うな・・・・」


圭子     「とにかく、頭のてっぺんから足の先まで全部いやらしいんです。

        何とかして下さい」

古屋     「・・・・・・」


星       「そうかそうか、それはいかんな。古屋、顔がいやらしいのはしょうが
        ないが、気持ちまでいやらしくなってしまっては人間じゃないぞ。

        サルだぞ。うん、サルだなお前は。(ビンタ)

        どうした、何とか言ってみろ。何も言えんのか。そんなにワシが怖いんかい!


        (ヒザ蹴り)ふ……、いいんですよ皆さん、こいつは人間じゃない。

        サルなんですから。いや、ヘビだな、ゴキブリだな。


        こんなものは死のうがどうしようが、
        この世の中にとって何の支障もありませんから。どうぞこの私に任せて
        おいて下さい。オラッ! 」


古屋     「ウウ……、た、す……」


                圭子、律子の笑い声―― 、暗転。