スグリゾウムシはゾウムシ科クチブトゾウムシ亜科の、いわゆる鼻の長くないゾウムシです。
体長は5~6ミリ、薄茶色の丸っこい体で、見た目は面白味がありません。
名前はジャムなどにして食べられる、スグリを食草としているので名付けられたようです。
しかし裏山にはスグリはなく、クズやツツジの葉を食べています。
数は多くありませんが、ほとんどの裏山で、年に2~3回は見ることができます。
小さいながらも大食漢で、葉の縁を半円状に食べます。
体全体に棘のような毛が生えていますが、触っても小さすぎて毛の感触はありません。
上翅には薄い焦げ茶色の横帯があります。
ただし個体によって明瞭であったり、不明瞭だったりとバラツキがあります。
口はシロコブゾウムシと同じで、口先は開いたままで、中のブラシが歯の役目をしているようです。
スグリゾウムシも飛ぶところを見たことがありません。
翅は退化してしまったのでしょうか・・・
20倍のルーペで背中を見ても、上翅の会合線は見えません。
第一印象はパットしませんが、よく見ると黒いつぶらな目は可愛いですね。
それにスグリゾウムシが凄いのは、交尾しなくても繁殖できる能力をメスは持っているのだそうです。
所謂単為生殖です。
そもそも本州にはスグリゾウムシのオスはいないそうです。
だから交尾姿を映すなんて、物理的に不可能でした。
生態のよくわからないゾウムシですが、ミカンの葉、マメ科、ツツジ科、バラ科などの植物を食草としているため、農業関係からは害虫として嫌われているようです。
幼虫は地中で植物の根を齧る根切り虫ですから、親子とも見つかり次第抹殺される運命のようです。