ミツコと言う香水は有名だ。

あのかの老舗のフランスのゲランが売り出した香水。

1919年に書かれた小説「ラ バタイユ」の日本海軍大将のうら若く麗しき妻、ミツコをモデルに作られた香水。

ミツコは既婚者だから、マダムだが、このマドモアゼル ルージュ、少しそんな気配がある。

当時、髪を洋風に結って、西洋のドレス、真珠を身につけ、でも撫で肩の着物が似合いそうな体型の淑女。

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そう、彼女は日本生まれ。
甲州は勝沼で作られる。
確か、カベルネソーヴィニヨンと、それから日本が作り出した品種マスカットベーリーAの混醸だったと思う。

マスカットベーリーAは本来甘いストロベリーのような香りなのに、それがカベルネでしっかり根っこをおろして居る。

土に植わったストロベリーの近くに行ったらこんな香りかな、と思う。
もしくはブラッベリーみたいな。

華やぐ心を必死に抑えて、慎み深く、礼儀正しく、でも頬を染めて恥じらう感じ。
だけど、身持ちは固いから、時々無愛想を装う。
味は、酸が強いが苦味もちゃんとある。

ミツコが惹かれながらも不倫を拒んだように、がっちりと正統な味に根を下ろそうとしている。かすかな甘みか苦味、それから酸味へ。

無表情と言われた当時の日本女性の本当の可憐さ、貞節さ、魅力はこんな感じだったのかな?と思いを馳せる。
きっとむやみに笑わない唇に、赤いルージュはよく似合ったことだろう。

そんな名前の割に飾り気のないエチケットの彼女。

マドモアゼル ルージュ。








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