昨日はボーダーの最終回だった。


確か第2話あたりで、「連鎖」というサブタイトルの回があった。
高校時代に殺人をした男が、年月が経って自分が殺害した被害者家族に殺される、という内容だった。
普通に起きた現象だけを捉えると、復讐した被害者家族は殺人犯になってしまうわけで、そっちに同情心を持つ。

かくいう私も、親戚の子供を殺人事件で失くしているから、尚更だ。

しかし、主人公は死者と会話ができるという設定で、その、以前少年犯罪を起こした加害者の人生を克明に知り、復讐をした被害者家族への一方的な同情が揺らぐシーンがあった。

ところが、この最終回に来て、絶対的悪をつぶすには、正義はそれを超える悪の要素を持ち合わせないと勝てない、というような終わり方だった。
犯人を突き落してしまい、直後その犯人の幽霊に「ようこそこちらの世界へ」というような声をかけられ、激しく狼狽する主人公。

深い。

なにが正しいのか、絶対に裁くことのできない、しかも再犯を予告する犯人をどうすることがこの世界の正解なのか・・・もし私が、親戚の子を殺した犯人を同じように突き落せる状況になったら、自分はどうするだろうか・・・答えがでなかった。

ただ一つ言えることは、今の司法には正解はない、ということだけだ。

私の一番好きな古いドラマ「必殺仕置人」で、藤田まこと氏演ずる中村主水のセリフがある。
「俺たちゃ無頼よ。無頼で悪党よ。でも、こんなにお上が悪を見逃してたら、それを誰かがなんとかしなきゃなんねぇ。悪党の上を行く悪党でなきゃつとまらねぇ。これは先の長い汚ねぇ仕事だ。俺たちみたいなろくでなしにしか、できねぇ仕事だ。きれいごと言ってたら、すぐにつぶれちまうんだよ。」

記憶で書いたからだいぶ間違っているかもしれないけれど、昨日のボーダーを見ていたら、中村主水のこのシーンが頭の中に浮かんできた。