今、日本の誰でもが知っているクドカンこと宮藤官九郎さん・・・私は20年前にひょんなことから遭遇していた。


それは香港映画界から足を洗い(?)帰国して、東京で仕事をしていた頃だ。

香港時代、香港お色気映画に出演してくださった日本の踊り子さん(ストリッパーさん)と知り合いになった。


で、私が東京で何年か仕事をしていたので、その踊り子さんとちょこちょこお会いするようになっていた。


その踊り子さんは、アングラ系のお芝居が好きで、一度「大人計画」の舞台に連れて行ってもらったことがある。

放送禁止用語も続出で、なんでもありで、劇団員の芸名も皆不思議な名前ばかりで、ちょっと怖かった。


よくはわからないけれど、その踊り子さんは劇団の方たちをお知り合いらしく、芝居終わりになぜか温水さんが踊り子さんのところへ来て、ご挨拶下さり、私も横で一緒に頭を下げた記憶がある。


見た舞台の感想は忘れたけれど、阿部サダヲさんのブリーフ姿がぼんやり浮かぶ。


さてさて、それで、その踊り子さんは地方巡業が多かったため、定期的にマンションの留守番(掃除とか荷物の受け取り、衣装の繕いなど)を頼まれていた。


基本踊り子さんの方から連絡があり、「何日に荷物を送るから、次の日に行って受け取って」みたいな感じで出向くのだが、一回だけ違う用件の連絡があった。


「あのね、明日大人計画の3人に部屋を練習場として貸したから、彼らが到着する前に行って、彼らの練習が終わるまでいてあげてね。」と。。。


次の日私は踊り子さんの家に行き、一番広い部屋をスペースをあけるよう荷物を寄せて待っていた。

二人は男性、一人は女性だった。二人の男性のうちの一人が、いわゆるクドカンさんだった。


私としては、その前に見た舞台の怖さがまだあったので、彼ら3人のことも勝手に怖がっていた。

だって、隣の部屋でちらちら練習を見ていても、全く私の知らない世界が広がっていて、びびっていた。


でも、彼らは練習が終わると、礼儀正しく立ち去って行った。


今はもう雲の上のような人だけど、私は20年前にクドカンさんと多少なりとも(ほぼ挨拶)会話をしていたのだなあ、と思うと、人生なにがどうなるか本当にわからない。