特に出かける用事もなかったけど、涼しくなったのを見計らい外に出ることにした。
気分転換になるかもしれない。
生暖かい風を切り、当てもなくふらふらと歩いてみる。
ふと、公園の前を通過したとき、アカリちゃんを思い出した。
元気にしているかな。
あの笑顔にまた会いたいな。
ひとりでそんなことを思い、公園内を見渡してみた。
「あずちゃん?」
聞き覚えのある、可愛らしい声がした。
「アカリちゃん!」
運命だと思った。
会いたいと思った矢先に、アカリちゃんに会うことができた。
「今日も抜け出してきちゃったの?」
目線を合わせるためにしゃがみこむと、大きな黒目はちな瞳に吸い込まれそうになった。
「今日はね、お家を探してるの」
アカリちゃんはそういうと、キャラクターもののバッグから一枚の紙を差し出した。
白いメモ用紙に書かれていたのは電話番号だった。
アカリちゃんの家の番号なんだろうか。
「このお家に行きたいの?」
「そう。でも、場所がわからないの」
地図を渡されたなら何とかなるけど、さすがに電話番号から家の場所はわからない。
「これだけじゃ行きたいお家にはいけないよ」
「うん。だから、ここに電話してほしいの。お迎えに来てっていえば、絶対きてくれるから」
それが一番いい方法だと思った。
アカリちゃんと家を探すためにウロウロするよりも、効率がいい。あたしはアカリちゃんの言うとおり、携帯から電話をかけることにした。
「もしもし」
電話に出たのは若い男の人だった。
「あ、突然すみません。今アカリちゃんと一緒にいるんですが........」
ひと通り説明すると、彼は急いでこの場所に行くと答え、焦ったように電話を切った。
「お兄ちゃん、くる?」
「うん。今からくるって」
「ヤッター!!」
アカリちゃんはキラキラと目を輝かせる。
「電話の相手、お兄ちゃんだったんだね」
「うん!すっごいカッコイイんだよ」
迎えが来るまで、アカリちゃんはお兄ちゃんの話をしてくれた。
優しくて強くて格好よくて。
まるで少女マンガの主人公のような男の子。
本当にお兄ちゃんのことが大好きだということがとてもよく伝わり、微笑ましくなる。
あたしは一人っ子だから、兄弟のよさがわからない。
でも、アカリちゃんのお兄ちゃんみたいな人がいるなら、あたしも欲しいと思った。
それくらい、アカリちゃんの気持ちが真っ直ぐ届いた。
しばらく二人でおしゃべりをしたり、鉄棒にぶら下がって遊んだ。
妹がいたならきっとこんな感じなんだろうな。
アカリちゃんみたいに可愛い妹なら、いつだって大歓迎なのに。
「あ!お兄ちゃんがきた!!」
鉄棒をパッと離し、アカリちゃんはぴょんぴょん跳ねるように走り、公園の入口に向かう。
嬉しそうにはしゃぐアカリちゃんの隣で、あたしは言葉を失った。