♦恋模様(続き) | *.・・Another Sky・・.*

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家に帰るとベッドの上にジャージが置かれていた。

借りたままになっている新のジャージだ。


あたしはそれを胸に抱きかかえた。


新の香りは消えてしまっていて、洗濯したての柔らかい陽射しの香りがする。それがなぜだか寂しく感じた。


あたしと新の繋がりまでも洗い流されてしまったようだ。

そもそも、あたしたちには繋がりなんか存在してないのに。


ただのクラスメイト。それだけの関係。


責任感が強く優しい新は、クラスの問題を放っておくことができなかった。

だからあたしに協力してくれたんだ。


そこには特別な感情なんかなくて、例えばそれが陽菜や玲奈だったとしても、新はきっと手助けしてたはず。


玲奈の恋を応援しよう。


これからも新は気まぐれにしか学校に来ないだろう。

来たときは、2人がうまくいくように協力するんだ。


頭ではそう想いながら、胸が痛んでる。

あたしはそれに気づかないふりをした。

認めないことにした。


自分の気持ちから逃げること。それが、友達との関係を壊さない最良の選択だから。






「おう」

次の日、6限が始まる少し前に新が学校に現れた。

3日連続で来ることなんて今までなかったことだ。


「おい」

返事を返さないあたしに、「聞いてんのか?」と彼は頭をポンポン叩いた。


「あ、うん。おはよ」

時間に合わない挨拶を口にする。


「今日は大丈夫だった?」

彼が訊いた。きっと島田のことだ。


「平気だったよ。ハジメたち休んでるし」

ハジメは欠席しているハジメだけではない。取り巻き連中も皆来ていない。



久しぶりに島田の声を聞いた。

相変わらず汗を拭きながら、でも、笑って話していた。


小さな勇気が明日を変えたのだと、あたしは少し誇らしく思えた。


「そういえば、昨日ハジメたち俺のトコきたよ」

「え?」

あまりにさらっと言うので、彼を二度見してしまった。


「仕返しのつもりで来たんだろうけど、あんな奴らに負けねえよ」

「喧嘩したの?大丈夫?」


新の全身を見渡す。怪我はどこにも見当たらない。


「バカにすんな。俺、そんなに弱くねえし」

「無事でよかった。何かあったらあたし、どうしていいか・・・」


思わず本音がでた。

自分でも不本意すぎて驚いてしまう。

慌てて弁解しようとしたけど、言葉が見つからない。


「ジャージ、早く返すからっ!!」

真っ赤な顔でそれだけ言うと、あたしは新から顔を逸らし前を向いた。


「顔、真っ赤。可愛いね」

彼があたしのうしろでつぶやいた。


その声がいつも以上に優しくて。

ドキドキがおさまらない。

体中が熱くなる。

こんな気持ち、いけないのに。

玲奈と約束したのに。


あたしは知らなかった。

自分の気持ちを抑えることが、

こんなにこんなに辛いということを。