♦救世主(続き) | *.・・Another Sky・・.*

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写真が好きなので
時々写真を載せたりします♪

だいたいは日常のこと、恋のことなどを書いてます

よろしくでーす☆



「大川くん」

背中に呼びかける。


「お前も大川だろ?」


少しだけ、新が笑ったように思えた。



適当な場所に腰掛けると、彼はもってきたジャージを自分の隣に敷いた。


「タバコの灰とか落ちてるし、ここにすわれよ」

思いもよらない言葉と行動に、素直に頷けない。


「何?嫌なの?」

顔をしかめると、あたしの腕を掴み無理やり隣に座らせた。

掴まれた腕が熱くなる。


新の優しさが、新の言葉が、あたしをドキドキさせた。


「ありがとう」

うつむいたまま、新の顔をみることができなかった。



「今日のあれ、なんなの?」

溜息混じりに彼が言った。


あたしの中のドキドキが一気に消えていく。


島田の事を聞かれると頭ではわかっていた。

それでも、実際口に出す勇気が出てこない。


あのイジメは新以外のクラス全員の罪だ。

あたしも加害者のひとり。


それをひとに話すこと。すなわち自分の過ちを認めること。



「大川を責めているわけじゃないんだ。ただ、何が起きているのか知りたい」

「言ったら、なにかが変わるの?」

「・・・変わる」


新は言った。“変わる”と。


「大川の勇気が明日を変えるんだ」


諦めていた。

あたしなんかじゃ何もできない、流されるしかない、と。


慣れてきていた。

ひとを傷つけること。

それを黙認すること。


痛みを忘れて、傷つくことを恐れて、あたしは明日を捨てていた。








包み隠さずすべてを話した。

ハジメたちの罪。あたしたちの罪。

新はどう思っただろう。


日常的に繰り返されていた島田に対する卑劣な暴力。

そしてそれを傍観する、クラスメイトたち。


新がいたら、こんなことにはならなかったというのだろうか。

あたしたちはただ、弱いだけなのだろうか。


新は最後まで話を聞いてから言った。


「暴力は、最低だ」


そして続けた。


「怖い気持ちは分かる。大きな力に向かっていくってのは、大変なことだから。でも、誰かが動かなきゃ何も変わらない。」


何も、変わらない。明日も明後日もその先も。ずっと、このまま。



「その“誰か”に大川がなるんだよ」


「あたし・・・が?」

できるのだろうか。あたしなんかに。


「あたし、何をすればいいのかな?」

不安だった。だけど、明日を変えたかった。



「明日、嫌って言うんだ」

「え・・・」


「やりたくないって、こんなことはもうやめようって、ハジメたちの前で言うんだ」

「でも・・・」


そんなことして大丈夫かな?


「大丈夫だから」


あたしの思いがわかっているのか、新はあたしの長い髪を優しく撫でる。



「大川はひとりで戦うんじゃない。俺が居る。絶対守るから。俺を信じて」



新の顔は見えなかったけれど、彼の言葉を信じようと思った。

彼はあたしを裏切らない。きっと守ってくれる。


まともに話したことすらなかったひとなのに、どうしてか信用できるような気がした。