「やればできるじゃん」
ハジメが笑いながら山下君の頭をなでる。
山下君は視線を床に落としたまま、微かに震えていた。
「ごめんなさい。ごめんなさい・・・・」
床に転がったまま、島田がつぶやいている。
何も悪くないのに、島田は謝り続けた。
島田、ごめんね・・・・・。
あたしは心の中で何度も何度も繰り返した。
届くことないとわかってはいた。だけど謝らずにはいられなかった。
こんな狂った行為を止められない臆病な自分を、ただただ恨むだけだ。
「あしたは誰にしようかなぁ」
教室中を見渡すハジメと、誰一人として視線を合わせない。
あたしじゃありませんように。
島田を蹴るなんて、そんなことできるわけがない。
机に刻まれた傷を数え、なんとか気持ちを落ち着ける。
「んー。明日はナオキ!」
肩の力が抜ける。
ナオキ・・・。ハジメの仲間のナオキだ。
「おう!まかせろ」
ブンブンと腕を振り回すナオキに、「蹴りだか!」とにこやかにハジメがツッコミをいれた。
明日も繰り返されるんだ。
明日どころじゃない。明後日も、明々後日も。。。
「言っておくけど、必ず前の日に次は誰か言うから。休んだらどうなるか、覚悟しとけよ」
ハジメが倒れている島田のお腹を踏みつけながら怒鳴った。
恐怖に包まれたこの教室には、新だけが不在だった。
新だけが、この事実を知らない。
♦第二の日常――おわり