♦第二の日常(続き) | *.・・Another Sky・・.*

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「明日から大変だね」

並んで歩くあたしに、陽菜が言った。


「あたしやりたくないよ・・・。島田が可哀想。陽菜どうする?」


「どうするって、やるしかないでしょ?」


「そうかもしれないけど・・・。だけど・・・」


「やらなきゃやられるんだよ?島田になりたいの?」


彼女は強く言う。

“島田になりたいの?”



答えは簡単だ。

“島田にはなりたくない”



「島田にはなりたくない・・・」


あたしは小さな声で呟いた。


「自分を守るためだもん。しかたないって思うしかないよ」


「うん・・・。そうだね・・・」



ポツポツと雨が降り出して、あたしたちの肩を雨が濡らす。

それなのに足が重くて、早く歩くことも、走ることもしなかった。



空が泣いていた。


島田へのイジメがどれだけ悪いことで、最低なことだと気づいていなが正当化するあたしたちに対して、空が涙を流していたんだ。


あたしが好きなのは、澄んだ鮮やかなブルーの空だったのに。









目覚めなければ朝はこないのに、あたしたちは当たり前のように目を覚まし、当たり前にこの日も登校している。


これから起こる出来事を、ある程度理解しながらも、止められないでいる。


無力でちっぽけな自分たち。


あたしは席に座り、空を眺めて楽しいことを想像する。


想像や妄想のなかでは、みんな幸せに笑っている。

島田もハジメもみんな楽しそうだ。



「やましたぁぁぁ」


響き渡るハジメの声。

現実世界に引き戻される。


どうするの?山下君。



あたしを始め、視線が山下君に集中する。



「・・・はい」


小さく返事をした山下君は掛けていた眼鏡を机に置くと、力無く歩きだす。


青白い顔をして、うつむきながら歩く姿は生気を感じられない。


「山下君。わかってるかな?」


ハジメのわざとらしい、“君”づけ。


「昨日言ったこと覚えてるよね?」


ハジメはニヤニヤ笑いながら、山下君の肩に手を回す。


「はい。覚えてます」


少し震えた声がかすかに聞こえた。



“やるしかない”



山下君の目が、そう言っていた。


小動物のように丸まっていた島田を、ハジメの仲間たちが無理やり立たせる。



「うわぁぁぁぁ」


叫び声とともに、山下君の足が島田のお腹に食い込んだ。

苦痛に歪む島田。

血走った目で島田を蹴った山下君。

傍観者のあたし・・・――。


みんなおかしいよ。狂ってるよ。


「はーい。よくできましたー!皆さん拍手~」


ハジメの声が響いて、まばらに聞こえだす拍手。


「ちいさ~い」


パチパチパチ


あたしにはできなかった。


手を叩くことも、この恐ろしい現実を止めることも。



誰も、何も言えない。


こんなこと、間違ってるよね?



“自分がやられるのがコワイ”


あたしたちは恐怖に負けて、大事なことを見失ってしまっていたんだ。