あたしは人見知りが激しく、消極的なタイプ。
それに比べて陽菜は社交的で積極的だ。
自分の性格を知っているあたしが、陽菜無しの高校生活を送るなんて考えもつかなかった。
「また同じクラスだったんだねぇ。いいな~。あたしは違うクラスになっちゃった」
まだ治まらない興奮をそのままに、下駄箱で上履きに履き替え歩き始めると、壁に寄りかかる夢ちゃんと目が合った。
夢ちゃんとは中学が同じだった。学校帰りにたまに遊んだりする間柄の友達で、陽菜を通して仲良くなった。
中学時代彼女は、校内で1位2位を争うほどのカワイさで、ファンクラブまであった。
友達だからという贔屓(ひいき)を無しにしても、彼女は間違いなく学校一可愛かった。
「一緒がよかったよー。残念。だけどこれからも暇なときは遊ぼうね」
陽菜が夢ちゃんを抱きしめる。
「うんうん」とうなずく夢ちゃんは、女のあたしから見ても文句なしに可愛いと思った。
退屈な入学式だった。
校長の話は長いわりに中身のない薄っぺらいもので、なにひとつ記憶に残らなかった。
今日からはじまる高校生活に、みんな浮足立っていた。
教室に入り、ぐるりと周りを見渡してみる。
同じ中学からこの高校に入学した人は少なく、クラスに知り合いは陽菜だけだ。
「友達いっぱいできるといいね」
陽菜はテーマパークを訪れた子供のように、目を輝かせている。
友達・・・かぁ。ちょっとばかり憂鬱になる。
あたしは昔から友達作りが上手ではない。
相手のほうが積極的に話しかけてくれれば何とかなるとは思うけど、自分からガツガツいける性格じゃない。
「あっ!裕子ちゃんだ!!」
友達を見つけたのか、小走りで“裕子ちゃん”の元に駆け寄っていく陽菜。
その場に残されたあたし。無性に寂しい気持ちに襲われた。
ひとりぼっち。
少し離れたところで、陽菜は楽しそうに話している。
時折聞こえる笑い声。あたしも気軽に入っていけばいいのに、足が石になってしまったように動かない。
周りの声が遠くに聞こえる。
陽菜を取られたような、嫉妬に似た気持ちになる。
そんな自分が情けなくて、あたしは静かに席に座った。