Netflixですずめの戸締まりをみた。

 

ネタバレ注意。

 

 

 

 

まず、子供と一緒に見てはいけない。怖すぎる。暗すぎる、そして重すぎる。そして、重い映画=芸術的に価値があるというわけではない。

新海誠ってオタク向けの作品を作っていたけど、うまく一般向けに修正していっていったと思っていた。つまり、ハイティーンのオタク向けから、子供も楽しめる方向へと行っていたと思っていたから、だいぶ方向が変わったしまったように思う。

もちろん、ここに2作品で「災害」が主題の一部になっていたことは分かっていたんだが、それってあくまで味付けというか、本筋は男子高校生が抱くような童貞的理想化恋愛にあったはずなんだよね。でも徐々に、自分のあるいは映画の社会的責任とかそういう方向性に目覚めてしまったのかな、という印象。

泣けることは確かなんだけど、泣かせることを目的として作られた作品で、この時代は「泣ける!」ということに映画の1番の価値を置いている、そういうことが残念だ。

 君の名は、は素晴らしかった。しかし天気の子、すずめの戸締まり、とどんどんはっきりとしてきた方向性はよくないと思う。

君の名は、は日常パートがしっかりと楽しく面白く、そこからの結末への急展開がある。天気の子では序盤から家出状態で(それは本作も一緒)、あまり日常をやっている余裕がない。君の名はの災害は隕石だから、もうどうしようもない運。それを超自然の力で回避するのは許せる。天気の子は異常気象。それを小手先で回避し続けた結果、もう諦めちゃって海に沈む(だったっけ忘れた)、災害よりも二人の愛だよね(だったっけ?)。そしてこのすずめの戸締まり、日本中の地震を止めようとする。地震を起こすのはナマズならぬミミズ。ミミズが出ようとする門(廃墟にある)を一つ一つ閉めていき、日本に二つある(はずの)要石をもう一度しっかりと地面に打ち付けるための旅。まず地震を人力で止めよう(というか能力者たちが陰で奮闘している)という発想が2ちゃんねるのノリで、やったあ、大震災を防げたね!じゃねえんだよ、そのエネルギーどこいくんだよってなる。

 リアリズムから離れると新海誠は多分つまらなくなる(本人が作りたいものは何か知らないけど)。君の名はのいいところは、主人公が「真実」を告げたとき、あのおばあちゃんでさえも信じないこと、誰も魔法は信じない、それでも人を動かすためになんとかする。すずめは最初から椅子が走る、猫が喋る。これじゃあ信じる。現実と超自然の間を描かないと面白くない、トドロフの言う通りだ、ペンギン・ハイウェイを見たまえ。

 結論としては、見る価値はあるけど、一人で見るべき。廃墟に眠る記憶のテーマとかすごくいいテーマだと思う、実際廃墟って観光資源化してるからね。でも震災を描くって難しいよね。災害を感動のために消費していないと言い切るのが難しい。繰り返すが、子供と一緒に見るのはNG、なんで金曜ロードショーでやった。