ネットフリックスで見た。

昔のトップガン自体は、最初の数十分見た感じで、ああキムタクの元ネタ的な映画か、って一人で納得してみるのをやめた記憶。

ところが、この続編?トップガン・マーヴェリックは面白かった。一作目を知らなくても、結構丁寧に思い出しシーンをしてくれるから楽しめる。

 

キムタクもトムクルーズも、ある職業において天才的な主人公が、規律を守らないが故に左遷されて、でもそこから再び立ち上がる物語を得意としてきたと思うのだけど、トムクルーズの本作は、それがとてもいい感じにおじさん化したかつてのヒーローの復活劇となっている。

 マーヴェリック(トムクルーズ演じる主人公のコードネーム)は、もう完全におじさんだ。バーに入れば若者集団におじいちゃん扱いされてお財布扱いされた末に放り出されるし、昔の恋人にはもう大きな娘がいる。冷戦はもう終わったから戦闘機乗りなんていらない(これはミッション・インポッシブルか、つまりトムクルーズは、古き良きアメリカのノスタルジーを体現している、だから若いイケメン俳優じゃなく、50過ぎの彼だからこそ演じられる・・・ってもう60歳かよ、すげえな)、無人機に予算を回したい、もうUS Navyなんて時代遅れじゃないか(Nasaみたいに)・・・。本作はロックを聞いて育ってきた世代の、現代への反抗だ。だから、かつてのイケイケのトムクルーズ映画にのめり込めなかった人にこそ合う気がする(もちろん、西部劇が最初からノスタルジーだったように、若いTCの映画も実際には懐旧的なのだが、それがあまり目立たなかったのだろう)。

 

戦闘機も、詳しくないんだけど、めちゃくちゃ古臭いのだと思う。F22でもF35でもなく(これを第五世代戦闘機というらしい)、F18で戦うから、空中戦になったら(第五世代を持っている敵に)落とされるよ!と作戦前に言われる(なんでF18なのか、説明があった気もする)。どころか、最後には骨董品のF14にTCが乗って、懐かしそうにドッグファイト。

 

さて、今回の敵は顔がない。極秘にウランを濃縮しているから、絶対イランか北朝鮮なんだけど、第五世代戦闘機を持っているということはロシアか中国なのだろうか。でもそんな大国の基地を攻撃して戦争にならないとかおかしいから(というか領空に入れんだろう、あと今のアメリカ映画は中国市場を重視するし)、やっぱりイランだな、って思っていると、なんと雪景色。なんだよここは! 敵のパイロットはフルフェイスだから肌の色も分からない。ほとんど宇宙人か、機械と戦っている印象。グローバル社会だもんね、仕方ないね。

 こうして核兵器を開発しようとするならずもの国家の基地だけを叩き、敵地に落下した仲間を命を顧みず助けに行く、USA!USA!映画に仕上がっている。軍隊のリクルート活動には最高の映画だろう。

 映画としてはとても面白かったし、最後の撃墜シーンとか思わず渾身のガッツポーズをした。でも、この映画ってどうしようもなくアメリカなんだよね・・・。アメスポとしての戦争。