昨日、一ヶ月間のパリ滞在を終えて、無事日本に帰ってきた。

無事、というのは修辞とかでもなんでもなく、コロナ禍においては帰国便に乗れるかどうかも五分五分くらいな感覚なのだと実感することが色々起こった。

 

帰国便出発の72時間前以降にPCR検査を受けて陰性証明を入手、かつそれを日本の書式に記入してもらうことが一番の関門。

 

まずはどこで日本のPCR陰性証明書式をプリントアウトするか。僕は大学図書館のプリンターで印刷できた(自分の大学ではないが、パリの大学では多分どこでも同じコピーカードを使っていると思う。以前のカードがまだまだ使えたので良かった)が、旅程に余裕のない人や学生じゃない人だと、直前になって慌てることになると思う。日本出国時にあらかじめ印刷して持っていくことを強くお勧めする。

 

そしてPCR検査を予約する、あるいは予約不要のラボを見つけ列に並ぶ。僕はどっちも経験したことがあるが、個人的には予約不要のラボで、ベルトコンベアみたいに検査される方がむしろ良かった。

僕が行ったのは、こちらの日本大使館のサイトで紹介されているところ。

 

Biolamなんとかっていうところ。9時から12時までやっている。

訳あって、帰国便の前日にPCR検査を受けたのだが、問題は果たして翌日の便(昼過ぎ)に間に合うのか? そして間に合ったとしてラボに再び赴いて日本の書式に写してもらう時間的余裕があるのか? だった

 

9時5分前に行くと、すごい列。と思ったら、全員がPCRという訳ではないようだ。PCRは意外と十人弱。そこに並んでいると前の兄ちゃんに声かけられる、「こっちは違うよ、隣の列なんだ」よく分からないままに、三人くらい並んでいる隣へ。そこで院内に入ると、でかいタッチパネルで個人情報を入力するように言われる。すごくめんどくさい(住所とかも書かないといけない)。それが終わると、受付用紙みたいなのが出てきて、もう一度並べと外に出されて、晴れてさっきの兄ちゃんの後ろに並ぶ、なるほどね。

 前の兄ちゃんがチラチラ見てくるから目を合わせたらすごい話しかけてくる。すごい並ぶんだぜ、でも今はマシだよ、ちょっと前まで三列だったからさ、君も旅行かい、日本なんだ、いいよねすごい見るとこあるらしいし、僕はモロッコなんだ、すっげえいいところだよ。ってな感じで、なるほどパリジャンじゃないからこんな感じがいいのかと納得する。今回の滞在では大学の授業以外のところで、すっごい感じのいい人に何度か出会ったなあ。

 さて、結局30分ほど並ぶと自分の番になって(さっきの情報入力のときに名前を打ち間違えたから修正を頼んで、ここ重要)、すぐに検査。廊下でアシスタントの兄ちゃん(のっぽ)に名前、生年月日、住所の確認されて、入室、右か左の鼻どっちがいいって聞かれてそこに刺される。思ったほど痛くは無いんだな。それでバイバイ。なんの説明もない。あまりにもわからないのでガードマンの兄さん(巨漢)に聞いたら、登録したメールアドレスに結果のリンクが届くから、紙(受け付けで渡されたすごく小さいもの)に書いてあるパスワードで開けと。

 さて、何時間後に結果が来るのだろうか? ちなみにこのラボ自体は7時から15時までで、PCRは9時から12時。もし15時までだったら当日に受け取りに行けるな。

 結果が来たのは確か14時56分とか、無駄に惜しい。パスワード付きのPDFが添付され、開くと「陰性です」やったあ!

 

 翌日は6時50分にラボに到着して並ぶ。その時点で5人目だったが、7時になるともう20人近くいたと思う。開院前だったので、列の区別とかはなかった。呼ばれて「PCRの結果受け取りに来ました、日本への様式に写して欲しいです」「いつ受けたの」「昨日です」「ないわよ、あなた用紙だした?」「ええと、今から出します」「もう、早くパスポート見せて」とぶっきらぼうながら、すごいテキパキと作業が進む。本来であれば、昨日受診時に受け付けで、日本入国用の用紙を事前に提出しておかなければならなかったようだ。とはいえ、2分ほどでその場で書いてくれてハイどうぞと。ここでラボ純正の陰性証明書(仏語、裏に英語。メールで送られてきたPDFの紙版)も一緒に貰えた。この時点で7時15分、開院前に並ぶべし。

 

 あとから厚生労働省のページをよくよく読んだら、日本の様式がなくても、陰性証明書がPDFしかなくても、現場の判断で飛行機に乗せてくれることがあるらしいが、その時は日本の様式に書いてもらえなかったらダメもとで空港突撃か?ぐらいの気持ちだったから本当にホッとした。

 

 空港のチェックインカウンター。陰性証明書は驚くほど「一瞥」だった。多分名前見たかどうかぐらい。MySOSアプリインストールしているかは聞かれた。

 話が前後するが、MySOSアプリでのファストトラック利用は今や必須だろう。オンラインチェックインして座席が確定したらそのタイミングで手続きを進めて(名前やパスポート番号などの利用者情報はそれよりも前に登録しておく)、ワクチン接種証明、陰性証明を「写真」で撮って送る。PDFじゃないので、紙書類を送るときには楽だ。

 ここでちょっとネックだったのが、5メガ以下の写真しか送れないこと。スマホ標準カメラアプリだとどうしても5メガを超えてしまう。そこで低画質なので使っていなかった別のカメラアプリでとると上手く送信できた。

 ワクチン接種証明は、最初三度目だけのを送ったら、1、2回目のも送ってくださいと言われたので、二枚を一画面で送ったら、ちゃんと審査完了していた。

 

 そうして無事出国。経由地のドバイまでは7割ほどは埋まっていたかな。おそらくウクライナ戦争の影響で、ヨーロッパからアジア方面へのルートが中東系に集約されつつある。だから今、エミレーツが逆にものすごく高くなってしまった。

 ドバイの空港は深夜でも人が多いし店が全部開いている。ヨーロッパとドバイではもはやコロナは過去の話になったのだ(フランスでは3月14日に、ほとんどの規制が解除された)。ところがドバイから日本便は2割程度かな? 前後いないし、横4席セルフカウチシートに出来るし(デフォルトでは窓際に配置されるけど、寒いし、前後に人がいる可能性高いから、中央ブロックに変えた)、とても快適だった。行きの飛行機で三十路の肉体には四度の機内食を耐える体力がないと悟ったので、ドバイからは二回とも機内食は断り快適に寝て過ごした(代わりに食べたドバイ空港での1100円のビッグマックセットは人生最高のマクドナルド経験だった。ここに来る時にはいつも、無事に帰国便に乗れた安堵感に満たされているのだ)。

 

 さて、日本の空港。MySOSが印籠になる。それを見せると全ての工程が一瞬で終わる。抗原検査を受けて、MySOSのアプリ説明を受けて(ホテル隔離、自宅待機などがある人は、そこで健康観察についての説明があるらしい。僕の場合は、陰性だったら自由放免だけれども五日間ほどはアプリ削除しないでねと)、待合スペースで40分か50分ほど待つ。ここでも無事「陰性」!

 その後、出国、荷物受け取り、税関と通過して、自由の空気を吸う。とはいえ分別があるので、荷物の宅配を頼んでからはどこにも寄り道をせずに、空港特急に乗り家路に着いたのでした。

 

 

追記

料金の話だが、僕の場合はフランスの保険証であるカルト・ヴィタルをまだ持っているので(これいつ有効期限切れるんだろう)、それを見せるだけで良かった。旅行者の場合でもせいぜい40ユーロとか60ユーロとかだと思う。

 あと、さっき気がついたのだが、ちょうど二年前ロックダウンから逃げ出した時も3月18日同時刻の便だった。だから同じマクドナルド(ターミナルCゲート14近く)にたどり着いたのか。