ユイスマンス伝/ロバート バルディック
¥8,971
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うそ、9000円近くするのこの本!う~ん、やっぱりなんらかの組織に所属していないと研究なんて出来ないものなんですね、図書館って偉大。

ユイスマンスは1848年にパリで生まれ、1907年に死んだ作家。『さかしま』という世紀末のデカダンの聖書ともいえる奇書を書いたことで歴史に名を残している人。ちなみに僕はこの研究をしていくつもりです。

彼の人生は多くの人を引きつけてきた。ゾラの弟子のような立場で文学活動を始め、さかしまあたりからゾラの一派から距離を置き始め、一時は悪魔主義にどっぷりとはまり、それを経てカトリックに回心する。

一流の美術批評家でもある彼は、美学の面からも研究されることが多い。実際、僕の大学に所蔵されているユイスマンス関連の本は、図書館、仏文、美学に綺麗に分散している。借りにくいことこの上ない。今のところは間に合っているけど、いつかは敷居の高い美学棟にお邪魔しないといけないのか。

『ユイスマンスとオカルティズム』という非常に大きな研究書もあって、19世紀末の神秘主義、悪魔主義の観点から見てもユイスマンスは面白い。
でも、やはり多くの人が気になるのは彼の転向。自然主義文学者から始まり、ついには小説という文学形式を捨てるに至る文学上の変遷や、無信仰から悪魔主義を経てカトリックに至る回心と、あまりにも極端。極端に過ぎるという点では一貫している。その極端さが彼の最大の魅力でもあり、19世紀末から20世紀にかけてバイブルのような扱いを受けた『さかしま』の魅力なのだろう。

狂人か凶賊か聖人でなければ興味がない。その他はすべて俗衆だ p.582

という彼の言葉に心の底から共感できる人なら、ユイスマンスの魅力から逃れることなど不可能なのだと思う。ユイスマンスを専門に研究する人は少ないのだけれども、ユイスマンスを心の糧にしているような人は、仏文に限らず、独文をやっているような人のなかにも多い。フランス文学においてもっとも権威ある版が、プレイヤッドっていうものなんですが、それにまだのっていないことが不思議なくらい、ユイスマンスは重要な作家。だと思うので、まずはさっさと『さかしま』を原文で読み終わりたい。

今のところちょうど半分あたりまで来たので、あと2ヶ月もあれば一通り読めるのでないかと期待している。