- アメリカ紀行 (上) (岩波文庫)/ディケンズ

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ディケンズが29歳の時、アメリカを人気作家として旅した時の紀行文。そんな若い時から人気だったんですね。
で、正直、面白くはないです。非常に散文的な作品。こういった作品に美しさを求めない人なら、なんの抵抗もなく読めると思いますが、紀行文なのにこれでは・・・・
イギリスには良き、紀行文の伝統があって、『スコットランド紀行』なんて最高なんですが。- スコットランド紀行 (岩波文庫)/エドウィン ミュア

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ディケンズの紀行文は、はっきりいって、この手の作品としては数段劣る出来。ディケンズに十分な詩的才能がないのでは疑いたくなるほど、実際『スコットランド紀行』のミュアは、日本では無名な気もしますが、詩人。一方のディケンズは大衆小説の書き手、紀行文を書くには正直不向き。紀行文って普通はその土地の良いところを見つけて、広くしろしめるものだと思うのですが、ディケンズには少なくともまったくそれが出来ていない。
一方のミュアの作品では、スコットランドの暗部を十二分に描きながらもそれでもなお、スコットランドの魅力が匂い立つような作品になっている。紀行文に関しては、二人の才能の違いは歴然。
よそ者として、アメリカを旅するディケンズの目にはどうもアメリカの良さも、悪さも表層的にしか見えていないよう。それがディケンズの精神の限界なのか、若さ故なのか、それともやる気ない仕事だったのかはともかくとして、文学作品としての価値はほとんどない、と思う。
もちろん、ディケンズのあの皮肉っぽい、語り口も、時には面白くて、船室の狭さと、それへの無理やりな適応力。アメリカ人の異常なまでの唾吐きぐせなど、当時の外国人からみたアメリカ人の印象など、見るべき点はなくもない。
アメリカと、イギリスとの違いに注目しているせいか、盲人学校や、刑務所などの設備を微に入り細を穿って書き綴る。ある種先進的な設備のよしあしを計りかねているような印象。
昨日出来たような国、アメリカ。という印象が当時はあったんだろう。アメリカ人という概念もなんか微妙で、三十年も住み続けているポーランド人、みたいな記述が多い。なにか、流れ者がたまたま居ついてしまった、というような人も当時は多かったのだろう。
まったく歴史のない国、アメリカを描く。このことはもしかしたら、詩人にとっても難しい仕事になったのかも。詩的な存在があまりに少ない。そもそも後世のための紀行文ではなく、当時のイギリス人読者のための紀行文だったことを考えれば、そう断罪するわけにもいかないかと思えてくる。
- スコットランド紀行 (岩波文庫)/エドウィン ミュア