やっと止まった、と見る人もいる。

 1492試合連続で全イニング出場し、世界記録を更新中だったプロ野球・阪神の金本知憲選手(42)が、先発メンバーから外れた。

 自ら申し出たという。

 このところチームの足かせになっていた。

 故障で打率は1割台、守備では狙い打ちされた。

 そんな状態に腹を立てる人はいたし、彼のファンとて痛々しく見ていたことだろう。

 米大リーグでは、故障で休むどころか、故障しないために休むのが常識だ。

 それがチームのためだし個人のためでもある。

 日本でも、連続出場より結果を残す方が求められる。

 会社勤めだって、皆勤しても給料が上がるわけはない。

 それでも彼が出続けるようになったのは、チームのためだった。

 故障者が続出した広島時代、何があっても試合に出ることが主力の責任であり、ファンのためでもあると考えたという。

 出場はあくまでチームのためで、記録はおまけにすぎない。

 そんな意識の強い彼にして、本末転倒になりかけた。

 それでもぎりぎりのところで踏みとどまったのは、誇り高き人だったからだろう。

 しかし世の中、そんな人ばかりではない。

 例えば政治家たち。長く務めるだけで年金がもらえる奇妙な世界で、議員であるということが目的になってはいないだろうか。

 本末転倒になりながら平気でいられる人には、金本選手の値打ちは分からないだろう。