「なぁ、このアイスのことなんて言う?」

「はぁ?」

なんちゃらセミがジージーと鳴く季節。隣を歩く幼馴染がそう言った。

手にはおそらくピンク色の真ん中で半分に折れる、

あぁなんかよく見かけるなぁーという印象のアイスが、霜で真っ白になっていた。

 

「なぁなぁ、聞いてる~?」

「やかましい」

不貞腐れた顔でこちらを覗き込んでくる。目の前でブランブランとアイスを揺らされた。

ただでさえ暑さでイライラしているというのに、その行動でさらに頭が痛くなった気がした。

 

「正式名称なんて知るかよ。あれだろ。ほら。パッキンアイス」

「ブッブー。残念でしたー。とても残念ながら不正解でぇーす」

「2回も残念言うな。頭悪いんか」

ハッハーこれでも学年10位ですー、と言うその頭を本気で殴ってやろうかと思った。

 

「はぁ。そんで?正解はなんなんだよ」

「およ。気になりますか」

「おい」

「きゃー怒らないでー。これな、チューペット!って言うんだぜ」

「へー。なんかあれだな」

「「楽器みたい」」

ニンマリ。待ってましたと言わんばかりのその表情に思わず眉間がひくついた。

 

「へっへー。以心伝心ですな。相棒よ」

「うるさ」

「まぁまぁ。ほい、半分こーしましょ」

「じゃこっち寄越しな」

「あ!ダメダメ!お前はこっちの下丸いほう!」

「なんでだよ」

「だってなんかこっちのほうが量少ない気がすんじゃん」

実際そんなに量は違わないはずなのだが、小さい頃から何となく先の尖がっている側のほうが量が多く見えた。

まさかそんなことまで同じ思考だったとは。

お先に失礼、手に持ったままのアイスをがぶりと口に入れた。

 

「ああぁぁぁ!!」

「ご馳走様でぇす」

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季節外れですね。

地方によって呼び方違うみたいですが、あのアイスの正式名称が今回のタイトルです。

知らんかったー。