妊娠11週6日。
つわりはピークを越えたのか、激しい波は引いてきた。でも、完全に消えたわけじゃなくて、レベル2くらいの気持ち悪さが、ずっと薄くまとわりついている。
相変わらず、スーパーの匂いはだめ。
あの、いろんな匂いが混ざった空気に入ると、一気に気持ち悪さが押し寄せてくる。
不思議なことに、八百屋さんは平気だ。
だから最近は、野菜と果物は八百屋さんで買って、お肉は少し割高でもマイバスで買う。あの小さな空間は、なぜか大丈夫。
それ以外のものはサミットのネットスーパー。
そんなふうに、体調に合わせた買い物ルーティンができてきた。
通勤は、毎日優先席に座らせてもらっている。
譲ってくれる人のほうが多くて、そのたびに小さく頭を下げながら、ありがたいなあと感じている。
そんな日常の中で、今朝はちょっとだけ特別だった。
優先席には「おばあちゃんA・おばあちゃんB・若い女性」が座っていた。
私が前に立つと、おばあちゃんBが「どうぞ」と席を譲ってくれようとした。
さすがに申し訳なくて「大丈夫です」と遠慮したけれど、
「私元気だから!ほんとに座って!」と背中を押されて、結局座らせてもらうことに。
すると、隣の若い女性がさっと立ち上がって、おばあちゃんBと席を代わってくれた。
気づけば私は、
「おばあちゃんA・私・おばあちゃんB」
という配置で、すっぽりと挟まれて座っていた。
なんだか少し、あたたかい空間だった。
おばあちゃんBが話しかけてくる。
「予定日はいつなの?」
「10月です」と答えると、
「生まれたら本当に大変よ。私はお腹の中にいる時のほうが楽だったの。とにかく覚悟しておきなさいね。でも若いから回復も早いわよ。若いうちにポンポン産むのが一番!」
「そうですよねー」と笑いながら相槌を打つ。
(私、出産のとき36歳なんだけどな…)と思いながらも、わざわざ言うことでもないな、と飲み込んだ。
すると今度は、反対側のおばあちゃんAが口を開いた。
「さっきから大変大変って言ってるけどね、私はそんなふうに思わなかったの。子育て楽しかったわよ。本当に一瞬だったもの。だからね、大変だなんて思わないでちょうだいね。」
同じ「出産」の話なのに、まったく違う言葉。
「ありがとうございます」と答えた瞬間、
ほんの少しだけ、空気が揺れた気がした。
どちらが正しいとかじゃなくて、
ただ、それぞれの人生の重みがそこにある感じ。
しばらく無言が続いて、
次の駅でおばあちゃんAは「お身体お大事にね」と言って降りていった。
なんだか胸の奥がじんわりあたたかくなった。
都会で暮らしていると、
こういう何気ないやりとりって、本当に少ない。
名前も知らない人同士が、
ほんの数分だけ同じ時間を過ごして、言葉を交わして、それぞれの場所へ戻っていく。
おばあちゃんたちの言葉は、どちらもきっと本当で、どちらも、その人の人生そのものなんだと思う。
大変かもしれないし、楽しいかもしれない。
きっと、そのどちらもある。
でも、今日のあの時間は、ただただやさしくて、
少しだけ未来が楽しみになるような、そんな朝だった。
やっぱり、
おばあちゃん、好きだなあ。
つわりはピークを越えたのか、激しい波は引いてきた。でも、完全に消えたわけじゃなくて、レベル2くらいの気持ち悪さが、ずっと薄くまとわりついている。
相変わらず、スーパーの匂いはだめ。
あの、いろんな匂いが混ざった空気に入ると、一気に気持ち悪さが押し寄せてくる。
不思議なことに、八百屋さんは平気だ。
だから最近は、野菜と果物は八百屋さんで買って、お肉は少し割高でもマイバスで買う。あの小さな空間は、なぜか大丈夫。
それ以外のものはサミットのネットスーパー。
そんなふうに、体調に合わせた買い物ルーティンができてきた。
通勤は、毎日優先席に座らせてもらっている。
譲ってくれる人のほうが多くて、そのたびに小さく頭を下げながら、ありがたいなあと感じている。
そんな日常の中で、今朝はちょっとだけ特別だった。
優先席には「おばあちゃんA・おばあちゃんB・若い女性」が座っていた。
私が前に立つと、おばあちゃんBが「どうぞ」と席を譲ってくれようとした。
さすがに申し訳なくて「大丈夫です」と遠慮したけれど、
「私元気だから!ほんとに座って!」と背中を押されて、結局座らせてもらうことに。
すると、隣の若い女性がさっと立ち上がって、おばあちゃんBと席を代わってくれた。
気づけば私は、
「おばあちゃんA・私・おばあちゃんB」
という配置で、すっぽりと挟まれて座っていた。
なんだか少し、あたたかい空間だった。
おばあちゃんBが話しかけてくる。
「予定日はいつなの?」
「10月です」と答えると、
「生まれたら本当に大変よ。私はお腹の中にいる時のほうが楽だったの。とにかく覚悟しておきなさいね。でも若いから回復も早いわよ。若いうちにポンポン産むのが一番!」
「そうですよねー」と笑いながら相槌を打つ。
(私、出産のとき36歳なんだけどな…)と思いながらも、わざわざ言うことでもないな、と飲み込んだ。
すると今度は、反対側のおばあちゃんAが口を開いた。
「さっきから大変大変って言ってるけどね、私はそんなふうに思わなかったの。子育て楽しかったわよ。本当に一瞬だったもの。だからね、大変だなんて思わないでちょうだいね。」
同じ「出産」の話なのに、まったく違う言葉。
「ありがとうございます」と答えた瞬間、
ほんの少しだけ、空気が揺れた気がした。
どちらが正しいとかじゃなくて、
ただ、それぞれの人生の重みがそこにある感じ。
しばらく無言が続いて、
次の駅でおばあちゃんAは「お身体お大事にね」と言って降りていった。
なんだか胸の奥がじんわりあたたかくなった。
都会で暮らしていると、
こういう何気ないやりとりって、本当に少ない。
名前も知らない人同士が、
ほんの数分だけ同じ時間を過ごして、言葉を交わして、それぞれの場所へ戻っていく。
おばあちゃんたちの言葉は、どちらもきっと本当で、どちらも、その人の人生そのものなんだと思う。
大変かもしれないし、楽しいかもしれない。
きっと、そのどちらもある。
でも、今日のあの時間は、ただただやさしくて、
少しだけ未来が楽しみになるような、そんな朝だった。
やっぱり、
おばあちゃん、好きだなあ。