妊娠7週6日。

そばをすするだけで、息が上がる。
胸がドクドクした日。

朝から何も食べたくない。
でも空腹は、もっと気持ち悪い。

いちごをひとつ。
梅のおにぎりをひと口。
やっぱり違う。

昨日まで救世主だったコンビニのおにぎりも、今日はもう味方じゃない。

仕事中は龍角散のど飴とラムネ。
カリカリ梅も少し。

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生き延びるための、小さな選択。

そんな中、ふと
「あたたかい蕎麦ならいけるかも」
と思った。

仕事終わり、会社の近くのお蕎麦屋さんへ。

今日から夫は3日間の出張。
自分で作る気力はない。
いや、正確に言うと――
自分で作った蕎麦は食べたくなかった。

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山かけそば、1,900円。
さすが都内価格。

一瞬ひるむ。

食べられるものが、
マクドナルドのポテトとかだったら
家計に優しいのに、と思う。

どうせなら、安くて満足できるものにしてくれればいいのに、と。

でも、体は正直だ。

立ちのぼる湯気。
とろろの白。
ほのかに香る柚子の皮。
その香りが、すっと鼻を抜ける。

ゆっくり、ひと口。
食べてない体にじゅわーとつゆが染み渡る。

ああ、食べられる。

胸の奥が、少しだけ緩む。
食べるのってこんなに体力必要だっけ?
というくらい、蕎麦をすするだけで息切れ。

でも、まだ食べられるものがあるだけ幸せ。

最近、贅沢しすぎている気がする。
フルーツを買い、外食をして。

でもこれは、本当に贅沢なんだろうか。

普段はちゃんとやりくりしている。
今は、命を育てる非常事態。

1,900円の山かけそば。

今日の私を救ったのは、それだった。
それで、十分だ。