彼女との出会いは2年前、新宿の路上だった。
別にナンパしたとかではない。
ただ、歌っていた。
誰も聴いている人はいなかったが、
新宿の片隅で、ただひたすらに歌っていた。

普段音楽も聴かないし、
もちろん路上ライブを聴くこともない。
だけどなぜかその時は、ふと足を止めた。
歌詞もよくわからないし、曲も普通だったが、
何か惹き付けられるものがあったのだろう。
単純に顔が好みだったのかもしれない。

いわゆる「ファン」になった。
ライブに足を運んだり、CDを買ったり。
通勤途中で聴くと元気をもらえる。
アマチュアなのでファンもそんなにいないから、
向こうも僕のことを認知はしているが、
それ以上ではない。

地方からギター1本かかえて出てきたそうだ。
YUIとかいうアーティストに憧れているそうだ。
当てもなく、ただ衝動的な夢だけ持って、
田舎から都会に出てきて、歌う。
しかも、新宿だ。
僕はその根性と熱意に、惚れたのかもしれない。
それが、あの一瞬でわかってしまったのかもしれない。

歌は、個人的な悩みや感情を吐露している感じ。
最大の特徴は声で、柔らかで弱々しいのだが、
その裏側には、確固たる意志が垣間見える。
うまく言えないが、それが心を打つのだ。
もっと、たくさんの人に聴いてほしいな、と思う。

そんな彼女が、ワンマンライブとやらをやるらしい。
半年後に向けて、練習と集客を頑張るとのことだ。
僕はただのファンなので特別何も手伝えないが、
うまく行くことを心から祈っている。
古くからのファンの願い、頼んだよ神様。