暖かくなる春先に1番悩まされるのが花粉症。

このページではお酒が好きな人が花粉症だと何故つらいのかを解説していきます。

目次

  1. まず知っておきたい!「花粉症を引き起こす植物とその症状」
    1. 花粉症の本家本元?「スギ花粉」
    2. 花粉症に切れ目なし!追い討ちかける「ヒノキ花粉」
    3. 涼しい地域でも花粉症に「白樺花粉」
    4. 秋の花粉症の主原因「ブタクサ花粉」
    5. 外来種が日本中に蔓延して花粉症「イネ科花粉」
    6. 口腔アレルギー症候群と喘息の原因「ヨモギ花粉」
    7. その他にもあるある、花粉症を発症させる植物
  2. なぜ花粉症の人はお酒を飲んではいけない?
    1. 醸造酒には花粉症を引き起こすヒスタミンが含まれている
    2. ヒスタミンを多く含むお酒とは
    3. アルコール自体がヒスタミンを増加させる?
  3. ところで、花粉症を悪化させないお酒ってあるの?
  4. 花粉症対策に!便利グッズとおすすめ方法
    1. メガネとマスクはイヤな人にイオンブロック
    2. ワセリンを鼻の入り口に塗布(リップクリームでも可)
    3. 生理食塩水で鼻洗浄(鼻うがい)
    4. 帰ったらすぐシャワー
    5. 夜は窓を閉めて寝る
  5. まとめ:歳をとれば花粉症は軽くなる?

まず知っておきたい!「花粉症を引き起こす植物とその症状」


アレルゲンとなる花粉は、日本では約60種類あると言われています。

その中でも花粉症に関係する有名な花粉は、

  • スギ
  • ヒノキ
  • ブタクサ
  • イネ科
  • 白樺
  • ヨモギ

 

などがあります。

花粉は一度にやってくるのではなく季節を変えて飛散するので、2月から10月まで花粉の影響を受けることになります。

花粉症の本家本元?「スギ花粉」

もっとも花粉の飛散距離が長いと言われているスギ花粉。風に乗れば数十kmくらいは軽く飛んで行きます。

実は、この憎きスギ花粉の発生源である杉林は自然にできたものではなく、戦中戦後に植えられた人工林です。国が植林を推奨した結果、全国に植えられた杉林の面積はなんと東京都の72倍の面積もあるそうです!これでは全国に花粉は飛びまくるのも仕方ないですよね。

そして、恐ろしいことにこのスギ花粉の量は年々増加しているとのこと。この時期に海外から日本を訪れた人も、今までに体験したことのないアレルギー症状が出たことでびっくりする人もいます。

さて、皆さんはスギ花粉の飛散が年々どれほど増加しているのかをご存知ですか?

実は、全国の花粉飛散量のデータはなかなか探し出せなかったのですが、素晴らしいことに地方自治体ではさいたま市がデータを公開しています。

さいたま市健康科学研究センターの資料によれば、もっとも量が少なかった2014年のスギ花粉飛散量は1069.8個/㎠ 。しかし、2019年には5313.9個/㎠ に増加。その量は約5倍で、今後とも増加していくと考えられています。

  • 発症地域:ほぼ日本全国
  • 飛散時期:2〜4月
  • 主な症状:鼻、目、のど、皮膚などにアレルギー症状

 

4月になってスギ花粉がやっとおさまりつつあるかな、とホッとする暇もありません。次にはヒノキ花粉が飛んでくるからです。

 

花粉症に切れ目なし!追い討ちかける「ヒノキ花粉」

同じく、さいたま市健康科学研究センターの資料によれば、もっともヒノキ花粉の飛散量が少なかったのは2012年。それに比べて、2019年の飛散量は約9倍になっているとのこと。

スギもヒノキもヒノキ科の樹木で、花粉症を発症させるアレルゲンもよく似ていることから、スギ花粉症の人はヒノキ花粉症にもなりやすい、と言われています。したがって、スギ花粉症がある人は、2月から5月までの長期間アレルギー症状が出る可能性が高いです。

  • 発症地域:スギ花粉と同様飛散面積が広く、ほぼ日本全国
  • 飛散時期:スギ花粉より少々遅くなる。3〜5月
  • 主な症状:スギ花粉症と同じ。

 

涼しい地域でも花粉症に「白樺花粉」

花粉症とは縁のなさそうな北海道から東北でよく見かける美しい白樺。しかし、これも花粉症を引き起こすんです。

当然ですが白樺花粉も飛散します。時期はゴールデンウイークあたりから始まり、5月の終わり頃まで続きます。

白樺花粉の症状はスギやヒノキとほとんど同じですが、特徴は昼過ぎから夕方にかけて飛散量が増えること。白樺花粉症の方は、外出は午前中に済ませた方が良さそうです。

また、口の中や耳の奥に痒みを感じるアレルギー症状が出ることがあるので、この時期はリンゴ、モモ、サクランボ、イチジク、キウイフルーツ、メロン、パイナップル、トマト、ジャガイモ、セロリ、パセリは避けましょう

  • 発症地域:北海道、東北地方、長野県
  • 飛散時期:北海道で4〜6月
  • 主な症状:鼻水、鼻詰まり、くしゃみ、リンゴ等で口腔アレルギー(口の中が痒くなったり、唇や舌が腫れる)

 

秋の花粉症の主原因「ブタクサ花粉」

河川敷や公園など、日本中至る所に生息しているブタクサ。

見た目は可愛いブタクサの問題点としては、地球温暖化の影響で今後はブタクサ花粉濃度が高くなり、飛散シーズンも長期化する恐れもある、ということです。

草丈が短いので花粉が遠くに飛ぶ危険性は少ないのですが、ブタクサが生えているところには極力近づかないようにしてください。

  • 発症地域:日本全国
  • 飛散時期:夏から秋
  • 主な症状:サイズが小さいので気管支にまで入り込む。咳の症状が出やすい。

 

外来種が日本中に蔓延して花粉症「イネ科花粉」

最近発症件数が増加しているイネ科花粉症。原因はお米のイネだけではなく、カモガヤやネズミホソムギなど海外から入ってきた牧草が主原因との情報もあります。これらのイネ科牧草は雑草として全国で繁殖しています。

  • 発症地域:全国
  • 飛散時期:ほとんど1年中
  • 主な症状:目の痒み、充血

 

口腔アレルギー症候群と喘息の原因「ヨモギ花粉」

草餅に使うヨモギ。鮮やかな緑色と爽やかな香りと苦味で季節の味わいを堪能させてくれますが、いったん花が咲くとブタクサ花粉と同じように花粉症を発生させます。

ヨモギ花粉もサイズが小さいので気管支にまで入り込みます。予防法としては、なるべく近づかないことしかありません。

また、ヨモギ花粉症の人はメロン、スイカ、セロリ、ニンジンを食べると口腔アレルギー症候群が発生しやすくなります

  • 発症地域:日本全国
  • 飛散時期:8〜10月
  • 主な症状:鼻炎、喘息、くしゃみ、人参・セロリ等で口腔アレルギー

 

その他にもあるある、花粉症を発症させる植物

以上ご紹介した植物以外でも、コナラ、オリーブ、クリの木、イチョウ、アカマツなどの花粉も花粉症の原因とされているので、極力ご注意ください。

 

なぜ花粉症の人はお酒を飲んではいけない?

では、お酒好きにとって重大な問題に入ります。

花粉症の人はお酒を飲んでも良いものでしょうか。

花粉症が発生する時期は、お花見や新入社員の歓迎会などの楽しい行事が目白押し!お酒を飲む機会はたっぷりあります。みんなでワイワイ盛り上がっている時に、「私、花粉症なので」と差しつ差されつのお酒を辞退すると場がシラケてしまいそうですが…。

醸造酒には花粉症を引き起こすヒスタミンが含まれている

ヒスタミンは人間の体が自然に作り出す物質ですが、ビールや日本酒、ワイン、シャンパンなどの醸造酒にも含まれています。醸造酒を作る際に微生物や酵母がヒスタミンを産生しているのです。

※ヒスタミン:神経伝達物質のひとつで、アレルゲンが体内に侵入すると機能し始める物質。多すぎるとアレルギーの原因となるが、食物から体内に入ってくることもあります。

ヒスタミンが体内に入ると抗体が防御体制に入って、ヒスタミンを体内から排除しようと攻撃し始めます。その結果、花粉症と呼ばれるくしゃみ、痒み、鼻水、涙目などが発症し、悪化することになります。

 

ヒスタミンを多く含むお酒とは

日本酒中のヒスタミン量はワインのヒスタミン量よりも多かった、とする海外の研究発表がありますが、どの種類の日本酒を使ったのは明記されていません

※スーパーの棚に並んでいるパック日本酒から精米歩合1%の大吟醸、遠心分離で絞った日本酒から圧搾絞り、速醸から生酛、新酒から熟成古酒、酒米や酵母etcの違いまで入れると、日本酒の種類は600種以上と言われています。

他の海外サイトでは、日本酒のヒスタミン量はワインよりは少ない、との記載があるので、日本酒の種類によってはヒスタミン量が違うのかもしれませんが、その点は今回は調べることができませんでした。
以下に、お酒に含まれるヒスタミン量を、調べてわかった範囲でご紹介します。

  • ビール:ヒスタミン量は1ℓあたり100〜300 µgの範囲。麦芽と穀物が占める比率が高いほどヒスタミンが多くなる。
  • 白ワイン:ヒスタミン量は赤ワインに比べて少ない
  • シャンパン:125㎖あたり84mg
  • 日本酒:人に対して強い生理活性を持つHim(ヒスタミン)とTym(チロシン)の含有量の研究結果はなし。

 

花粉症の人はヒスタミン量に注意しなければなりませんが、ワインやビールに含まれる亜硫酸塩も注意が必要です。

※亜硫酸塩(SO2または二酸化硫黄とも表記) :アルコールを酢に変えるバクテリアの成長を防ぐために添加されるもの、あるいは自然に発生するもの。頭痛だけではなく、人によっては喉の痒みや鼻詰まりなどのアレルギー様症状を起こすことがあります。

アルコール自体がヒスタミンを増加させる?

海外のメディアを見ていると、「花粉症の人はワインとビールは避けるべき」だが「ジンやウォッカなどの蒸留酒なら良い」とか「ジントニックを飲んだら症状が軽減した」などと紹介されています。

しかし、モンゴロイド系である日本人の44%はアセトアルデヒドを分解する酵素「ALDH2」が少ないか全くない「お酒に弱い人」です。

ヒスタミンは入っていなくても、高アルコールの摂取はIgEレベルを高める、との研究もあります。

※IgEとは、体内に入ってきたアレルゲン(アレルギーの原因となる物質)から体を守り、異物を排除する機能を持っている抗体です。アレルギー体質かどうかを判定する値となりますが、実際はアレルギー疾患以外でも上昇が見られるので見極めが必要とされています。

こんな研究結果を見ると、やはりお酒は飲まないに越したことはないのか、とお酒好きはガックリしてしまいますよね。

しかし、米国アレルギー学会が発表した2016年の研究※※によると「アルコールを飲むことでアレルギー性疾患のリスクが高くなる」とは断定していません

※※また、米国アレルギー学会は、「2016年以前にデンマーク、スウェーデンで発表された研究で、アルコール飲料と喘息、頭痛、鼻詰まりなどの症状との関連があるとされていたので、一部の個人が鼻炎症状を起こす可能性はある」としています。

少々歯切れの悪い研究結果ですが、真っ向から「酒はいかん!飲むな」とは言っていないので、ちょっとホッとしました。

ところで、花粉症を悪化させないお酒ってあるの?

醸造酒にはヒスタミンが入っている、アルコールは体内のヒスタミン量を増加させる、とは言えども、ご紹介したいお酒があります。マスコミでも紹介されたのでご存知の方も多いかもしれません。プラシーボ効果かな、とも思えますが、論より証拠で「症状が軽減した」とおっしゃる方も多いのが焼酎です。

焼酎は蒸留酒。科学的な有効成分は確定されていないのですが、「軽微な花粉症だからちょっとだけ飲みたい」方で、お酒にも強い方は、医師と相談後にお試しになってはいかがでしょうか?

 

 

花粉症対策に!便利グッズとおすすめ方法

何らかの対策を取り、わずかでも症状を軽くしたい花粉症。このままでは1年中お酒を飲めないことになりそうです。

では、どのような方法で花粉症を予防することができるのでしょうか。

メガネがイヤな人にイオンブロック

外出するたびにマスクをするのも面倒になる時がありますよね。(今はコロナ渦なので仕方ないですが、、、)

そんな時は、サッとひと吹きするだけでくしゃみや目の痒みもある程度抑えてくれるスプレーがあると助かります。

使い方は簡単!目を閉じて顔全体にシュッと吹きかけるだけ。カチオン性ポリマーが花粉が目や鼻に入り込むのを妨げてくれるので、花粉症予防にもなります。

マスクをつけるとメガネがくもってイヤ、ジェル状のブロック剤は化粧が崩れやすくなるので付けたくない方などにもおすすめです。

 

ワセリンを鼻の入り口に塗布(リップクリームでも可)

マスクをするとメイクが落ちるので、なんとか避けたい女性は多いものです。そんな方は、ワセリンを鼻の穴に沿ってぐるりと塗ってみてください。これはイギリスでは結構普通に行われている方法で、ある程度の効果は認められています。

ただし、指で塗るのはかなり難しいので、綿棒などを利用すると簡単です。

その点リップクリームタイプなら携帯にも便利。ただし、一日中つけっぱなしにするのではなく、時々拭き取って新しく塗り直してくださいね。

 

生理食塩水で鼻洗浄(鼻うがい)

生理食塩水で鼻の中を洗うと、花粉や細菌などが付着した鼻水の層が薄くなって剥がれやすくなりアレルゲンが取り除かれる、と考えられています。

生理食塩水とは、体液と同等の塩化ナトリウム溶液です。鼻洗浄はヨガでも用いられるくらい歴史あるうがい方法で、処方箋も必要ありませんが、不安な方は医師に相談してください。(あまり勢いよくすると口の方に落ちてきますので要注意)

 

帰ったらすぐシャワー

植物は移動できないので、自分たちの種族を絶やさないために様々な工夫をしています。その工夫の一つが花粉表面の数多くの突起です。一度くっついたらなかなか取れません。

衣服や髪についた花粉も同じ理由で、少々はたいたりブラッシングしたところで効果はありません。

外出から帰ったら服は洗濯機に放り込み、シャワーを浴びて髪についた花粉も洗い流しましょう。

 

夜は窓を閉めて寝る

日中の気温が上昇すると、花粉を運ぶ空気が上に上がっていきます。上昇した花粉は、夜になると地上に降りてきて花粉濃度が上昇します。

この状況はすべての花粉に当てはまるわけではありませんが、夜は窓を閉めて寝た方が良さそうです。

 

まとめ:歳をとれば花粉症は軽くなる?

花粉症とは、簡単に言えば免疫の過剰反応です。しかし、こんな鬱陶しい症状を一生引きずって生活しなければならないなんて、お先真っ暗な気持ちになります。

そんな絶望的になりかけた時にBBCで面白い記事を見つけました。

花粉症は年をとるにつれて次第に衰える。半数の人は年齢とともに症状がだんだんと緩和され、50代に消える可能性もある。

花粉症にかかった全員に当てはまるわけではありませんが、花粉症は一生モノではないようです。現在花粉症の若い子に言うのは酷かもしれませんが、アラサーやアラフォー、アラフィフの皆さん、もう少しの辛抱ですよ〜!(笑)

 

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