大宮妄想小説です
BL要素含みます
パラレルです
side N
大野に背負われた俺……を不思議な気持ちで見ていた。
嬉しそうに大野にくっついて、瞳をキラキラさせてる。
身体は確かに自分だけど、俺はあんな風に好きって気持ちを素直に表面に出すことは出来ないから、何だかとても羨ましくて。
そして、俺を背負ってるのに、全く速度も落ちずにスタスタ歩く大野。
人通りが少ない方だけど、すれ違う人たちは凄い見てるのに全然人目なんて気にしてない。
速度が落ちない事、人目を気にしていない事、両方凄いなと思った。
「大野、すげーな。
よく普通に歩けるよな」
「だって、軽いし。
お前、もっと食った方が良いぞ」
全然人目を気にしていないから、大野はそう返してきた。
それからは人通りも多くて話せなくなったけど。
大野も何だか無表情だし。
ただ黙々と無言で歩く。
だから考える時間がたっぷりできた。
そっか、俺、このまま戻れなかったら、大野とはずっと人前で話せないんだ……。
あ、でも離れるつもりだったからどちらにしても大野とは話せなくなるんだったからそれは悲しむ事ではなかった。
ただ、俺の中にいるポチは自由に外を歩けなくなるのは可哀想だ。
犬と入れ替わるなんて信じられない出来事が起きて、更にその後すぐに怒涛の彼女の攻撃などに遭ったせいで、全く先のことを考える余裕とか無かったけど、ここにきてやっと現実的に考える事が出来るようになってきた。
俺とポチはどうなってしまうんだろう。
きちんと戻れるんだろうか?
ああ、でも相葉さんに言ったら戻してくれるだろうなって少し気持ちが軽くなった。
そうだよ、入れ替えた本人に戻してもらったら良いんだ。
とりあえず家に着いたらすぐに大野と話して、それから相葉さんのところに連れていってもらおう。
そんな風に考えながら、大野の家の玄関に入ったんだけど。
話す暇なんて無くなってしまった。
そう、俺の身体のポチが玄関に入って床におろしてもらったとたんに自分のサークル内のトイレに向かって走っていこうとしたから。
「わーっ!大野っ!
ポチがトイレだっ!」
慌てるけど、俺にはどうする事もできない。
とりあえず俺の身体だから、サークルに入る事も出来ないし、ズボンもパンツも履いてるのに自分で脱げるわけがないし、どうしたら良いんだってパニクる。
でも大野は冷静で。
また俺の身体を抱き上げるとトイレに向かった。
そして、躊躇うことなく俺(中身はポチ)のズボンとパンツを下ろしてトイレに座らせた。
「ポチ、トイレだ」
トイレトレーニングをした時みたいに声をかけて、そして便器の外に飛び出さないように、俺自身を掴んで下に向けた。
「………………」
や、仕方ない事だって分かるけど……、俺は色々ショックで声を出せなかった。
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