大宮妄想小説です
BL要素含みます
パラレルです
side N
大野は俺(ポチなニノ)を庇うように抱き上げ彼女に訊いた。
「ちょっ、どうした?」
「智くんに会いにきたら、この犬がいきなり吠えてきたの」
吠えてねぇし。
吠えたら俺の声だってバレるから唸ることしか出来ないし、第一先に手を上げてきたのはそっちだしと思いながら唸る。
でも大野は彼女の言うことを信じるんだろうなって思うと悲しいやら虚しいやら。
大野、やっぱりお前、女を見る目無さすぎる。
まあ、俺も今回は良い子を見つけたんだなって騙されてたけど。
教えてやりたいけど、今の状態で俺は教えられないし、例え元に戻ってから言ってもきっと信じてもらえないだろうし、ただの嫉妬みたいに思われるだけだ。
「次は会いにくる前に連絡くれる?」
そう言った大野。
合鍵は渡したけど、勝手に入ることは容認していなかったんだと分かり、ちょっとニヤける。
まだそこまで親密じゃないって事だもんな。
「はい、ごめんなさい」
でも、素直に可愛く謝る彼女は、大野の好みなんだろうな。
すっかり騙されてる。
大野が彼女の本性に気づくのはいつになるんだろう。
ポチが心配だから、ポチは俺が引き取ろうかなんて考えている間に大野は電話をかけに寝室に一人で入っていってしまった。
「ちょっと、お前のせいで大野くんに怒られたじゃない」
寝室が防音だって知らないらしい彼女は、大野には聞こえないように小声でそう言った。
合鍵を使って勝手に入った事を怒られたのに、何故か俺のせいにしてるし。
しかも、大野がいなくなった途端に、リビングの収納にそっと近づいていって勝手に開けようとしてる。
「ウーッ(止めろ!泥棒)」
そんな気持ちで唸る。
すると大野の前では優しげな清楚系だった彼女がギッと目を釣り上げて、何も言わずにいきなり叩いてきた。
少しクラクラするぐらいの衝撃。
痛みでクゥって声が漏れた。
そんな俺に向かって容赦なく更に彼女が手を上げた。
また叩かれるって身体に力を入れて衝撃に備えた時、大野がリビングに戻ってきてくれた。
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